君だけのヒーロー
「くーちゃん助けてよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ドタドタと音を立てて階段を上がってくるのは、俺の幼なじみ。
俺の部屋のドアが乱暴に開けられるまで後五秒。
<君だけのヒーロー>
「今度はなんや」
「ひっぐ、まっ…えぐ…前髪がっふぇっ」
「前髪がどないしたん?」
手で前髪を押さえながら泣きじゃくる彼女。
そっと手を退けさせると現れたのは不揃いな前髪。
「ブフッ…どないしたん?」
「笑うなら笑ええええ!うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「自分で切ったんか?」
「う゛ん、ひっぐ」
何でも財前に前髪も切れないとは信じられない不器用だと言われ、ムキになって出来ると言い張ったそうな。
「そんなん無視して、いつもみたいに俺に言うたらええやろ。」
「だって、ひぐっ、財前君が何でも自分でひっぐ、出来ないでくーちゃんに頼って、ふぇ、ばっかだったらメンドクサい幼なじみ、すんっ、愛想尽かされるとか、言うから」
そんなん嫌やぁぁぁと言ってまた泣き始めた。
いつもいつもちょっかい掛けよって財前!!
絶対しばいたるからな!
「そんな寂しいこと言わんといて?
俺は頼って欲しいんや。」
そういって頭を撫でる。
それでも止まらない彼女の涙。
ほんまに可愛い俺の幼なじみ。
面倒じゃない?嫌になっちゃわない?これからもくーちゃんの所にきていい?
なんて言われて断る訳ないやろ。
昔からお前を守るのは俺だけなんやで。
「おん。いつでも来いや。ほら、前髪揃えたるからそこ座り。」
大人しく座った彼女の前髪を少しずつ整えてやる。
「くーちゃんの床屋さん久しぶり!」
「誰かさんが意地はって延ばしとくからやろ。」
「明日、財前君に前髪自慢するんだ!」
「ハイハイ」
「あ、後ね」
「ハイハイ」
「くーちゃん大好きー!」
「俺もやでー」
とりあえず明日の朝練、財前はランニング追加な。
end
離れられないのは白石くんも一緒って事で^^
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