楽しそうにテニスしてる姿も
抱きしめてくれる逞しい両腕も
痛みすぎた髪も
はなって呼んでくれる声も唇も
全部全部、私だけの物
ドルチェより甘い永遠
「頭プリンになってきたねぇ」
「せやなぁ、そろそろ染めなあかんわ。」
お昼休みも残り15分
今日も私の作ってきたお弁当を綺麗に食べてくれた
満腹で眠たいのか肩に寄りかかって甘え気味な謙也
いつも見上げてばかりの顔が自分より下にあるなんて違和感
セットされてる髪に振れると痛みきってキシキシとした感触が伝わる
「またブリーチするの?」
少し延びてきて根本が黒くなってきてる
ブリーチされた黄色と相まって、ほんとうにプリンのようだ
「おん!この色、気に入っとんねん。」
「髪痛みまくりじゃない。将来禿げるよ、絶対。」
「マジでか…銀さんとキャラ被るやないか。」
気にする所はそこ?
「きっと走るスピードもよくないよ。摩擦で髪抜けてるに違いない。」
「そうなんか?いや、そういわれれば最近風呂場とか枕とか…嘘やん…どないしよはな、十代で禿げ散らかるとかシャレにならんで!」
じゃあブリーチ止めりゃあいいじゃん、という言葉は飲み込んでおく事にした
ズルズルと力を抜いて完全に膝枕状態
なんか嫌やぁとだだっ子のように腰にしがみついてきた
珍しく照れもしないで完全に甘えモードである
「謙也が禿げたら私が婿に貰ってあげるから心配しなくて良いよ。」
「…………男前ですね、はなさん」
「謙也の一人や二人養ってやるわ。」
「それ、普通は俺の台詞やない?」
巻き付いていた手に力が入って私のお腹に顔を埋めてしまったから表情はわからないけど、お気に入りの髪色からのぞく耳は赤かった
「だから、私がどんなになってもお嫁に貰ってね?」
「当たり前やろが。はなは俺のとこ以外に嫁に行ったらあかんねんで」
間髪入れずに聞こえたヘタレにしては大胆な発言に顔が緩むのが押さえられない
昼休み終了の鐘が鳴ってるような気がするけど
きっと私たちの永遠を祝福する鐘に違いないわ
じゃぁ、お決まりのアレじゃない?
「謙也、こっち向いて」
渋々といった感じで顔を向けた謙也に誓いのキスを降らせる
唇が触れたのは一瞬だったけれど
私たちの永遠を誓うには十分すぎた