「個人的に親しくしてましたけど、付き合ってはないです。気になります?」
気になるってゆーか、なんちゅーかやなぁ…。
七瀬は少しズレたとこがあるけど、評判はいい。
顔だってどっちかっていや綺麗系やし、よく気がきくし。
俺かて、良いなとは思ってた。
せやけど、光と付きおうとると二人を知る誰もが思ってた。
「たしかに、財前君とは一緒に帰ったり、連絡とったりしてましたけど…」
そうだ、何度となくこの目で見たんや、光と仲よぉ肩を寄せる七瀬を。
だめ押しにテニス部の後輩がわめいとった。“好きな人がいる”と七瀬にフられた後、下校する二人を見たって。
「全ては忍足先輩の為です。」
あぁ、頭が追いつかへん…。
「私、忍足先輩がどうしても欲しかったんです。なので財前君を利用しました。
もちろん財前君も私が忍足先輩が好きなことは、知っていますよ。
先輩のこと色々教えてもらいました。」
(利用ってなんやの…!?七瀬ってこんな娘やったっけ!?)
思わずため息がでた。
つい、眉間にしわが寄ってまう。
良いなと思ってた子に告白されてるのに、甘さの欠片もない雰囲気。
その上主導権は完全に向こう側。
まるで、俺にはYESしか残されてへんみたいな…。
「欲しかったって、人を物みたいに…。」
「可愛いですね、先輩。そう言う顔、崩したくなります。大好きです。」
そう言った七瀬の眼は、少女のように澄んでいて、獣のような光がみえる。
思わず背中がゾクリとした。
(赤ずきんの皮かぶった狼や!いや、俺が赤ずきんなんか?!)
「好きです。忍足先輩、私と付き合ってくれますか?」
「っ……!!!」
とどめと言わんばかり上目がちに頬を染めた彼女に息をのんだ。
ここで迷ってる俺には、やっぱり一つしか答えは残されてへん気がするんやけどな…。
赤ずきんは俺か彼女か。
(俺次第なん?どないする!どないするん俺!!)
…end?
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