「名前ちゃん、暑くてしんじゃいそう」
「とりあえず片手にアイス持っておきながら何を行ってるんだい君は。そのアイス私によこしなさいよ」
「絶対やだ」
「お、ま」

朝から続く暑さと、先ほどから続くこの不毛な争いに私は些か苛立ちを抱えながら短いホットパンツからでる足に団扇で風を送ってはみるものの、残念ながら暑さは全くと言っていいほど涼しくもならない。
むしろ無風なので熱気が籠もっていく気がして軽く発狂しそうだった。

真横でソーダアイスにかぶりつくチームメイトに本気で水を含ませたタオルで窒息死をさせてやろうかと何度か思いつつも、暑さのせいでやる気も起きない。
だれだ、宿舎のクーラー壊した奴。木暮か。いや、明王ちゃんか。
もうどうでもいい。扇風機がほしい。

「吹雪、暑い」
「僕も。なんか頭痛い」
「えー、熱射病?勘弁してけろー」
「名前ちゃん、服脱いだら?」
「もう黙って私にアイスを譲ってくれ。絶対下着になんてならないぞ私」
「えー」
「ほんと黙れよ。」

あっつー、と茹だりながらまた呼吸。一向に涼しくもならないこの暑さに本気で発狂しそうだ。今なら吹雪の首を絞めれるかもしれない。
そう回らない頭で考えながらも実行しないところは、暑さで完全に頭が回らないし体が動かないからだと思う。

元々北陸に住んでいた私たちにとって都心の暑さは異常で、想像以上の暑さに体が対応しきっていないのが現実だった。

「もうやだ。青森に帰りたい」
「僕も北海道に帰りたい。」
「暑すぎて鬱」
「むしろしぬ」
「もうやだ」
「だから、服脱いだらい「変態、それ以上近付いたらぶん殴る」…。」

あーつーいー。そうまた私は団扇を振る。

「あ、今から暑いって言ったら一枚服脱ぐことにしよう。全裸になったら負けで相手の言うこときこう。」
「やだ、変態ちかよんな。キャプテーン。サボリがここにー」
「なにいってんの、名前ちゃん。君もサボリだろ?」
「うぜぇぇえ。吹雪すごくうぜぇぇえ」

私は一睨みきかせてお腹の辺りを服を捲って扇いだ。

「プール行きたい」
「あ、ホース使って水浴びしようよ。」

満面の笑みでそう言うと吹雪は私の腕を引いて床から起こすとホースの置いてある裏の噴水の所まで私を連れてきた。

「え、本気?」
「絶対涼しくなるよ!よし、やろっか」

ちょうど二本あるホースの一本を私に渡すと吹雪は勢いよく蛇口を捻り、私に口を向けた。

「ぷぎゃ、」
「ぷぎゃって。だめ、今のツボに入った」
「ナニこいつ。スッゴいムカついてきた。」

負けじと私は腹を抱えて笑い転げる吹雪に蛇口を捻り、ホースの口を向けて指先で口を調整しながら強力な一撃を与えてやった。

「ぎゃ、」
「ふはははは!ざまあみろ!!」
「やったな…。しかえしだぁ!」



「鬼道。なにやってるんだあいつら。」
「あ、名前の下着透けてる」
「馬鹿だな。暑さで頭がイカれたんだろう。」
「食堂はクーラー壊れてないって事に気づいてないんでしょうか。」
「立向居、あの二人は基本的に馬鹿だからほっといてやれ。」


「あ!名前ちゃん今日は水玉レース!!」
「死にさらせぇぇぇえ」


異常気象

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