俺が名前を好きだったらどうする?

そう言ったのは最近海外から帰ってきた幼なじみだった。昔よりも幾分か大きく、そして何よりかっこよくなって帰ってきた。その幼なじみはそんなことを言うと鼻で笑うように私の額をデコピンすると笑いながらほら、どーするの?と言及してくる。

「一之瀬は、アキが好きだから、リカと付き合ってるからそれはない。以上。さて、帰って秋と」
「待って!とってもまって!え、何今の。俺ふられたの?!」
「むしろ好きだなんて一言も言ってないし。」

お前の頭はどこぞのエイリアン並みにアホか、と私は冷たい視線を奴に配せ、手に持っていたボトルを投げつける。バシン、と手に当たる音がしたあたり鼻に当たらなかったのか、残念。と文句を零す。
俺のしたことが!と零し、彼は地団駄を踏むが、残念な事に女の子とサッカーしか頭に無い奴に同情なんてするわけが無いだろう。デリカシーのないやつめ。

「ねぇ、名前!」
「私が好きなタイプはマーク君だ。お馬鹿エロの瀬死ね」
「なっ、お前っ」

そう言って、言い逃げるように走り出すが流石はサッカー部の脚にマネージャーしかしてない女子が叶うわけもなく、呆気なく私の脱走劇は終幕を告げると同時に、エスの瀬スイッチが入ってしまった様子で、一之瀬は顔を伏せながら私の腰を掴むと自らに引き寄せた。

「一哉離せ」
「こういう時だけ名前呼べばどうにかなるとか思うな。」
「一哉、」
「すっごいムカつく。」

ムカつく、ムカつくと連呼し、一之瀬は腰に回っている腕の力を強めた。痛い、と呻いてみれど、その腕の力が緩められる訳もなく、私はただされるがままに一之瀬を見た。

「なんでマークの名前いうのさ」
「だって、」
「それに、俺はアキのことはあきらめたし、リカとも付き合ってない」
「抱きつかれてることに嫌とは感じないくせに」
「う、それとこれとは別だ!」
「(エロの瀬め)」
「名前、好きだ!」

そう言って私の首筋に顔をうずめて、鼻先をすり寄せる。私は内心、勘弁してくれよ。と後々の面倒事に思考を張り巡らせながらされるがままに抱きしめられる。
ぎゅうぎゅう、とまるで好きと返さないと解放してはくれないと脅迫を暗喩させる行為にガキじみた一之瀬の独占欲に少々ため息がこぼれてきた。
脳裏に、面倒事だなぁ、と流れてきたが、五分も継続してこんな事をされるとかえって身動きがとれない。

「一之瀬、」
「一哉、一哉がいい」
「私、一哉のこと好きよ」
「本当?!」
「ええ」



幼なじみとしてだがな。
( 残念だったね。 )
( 私の王子様は彼だけなの )


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残念一之瀬ww

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