「よし、別れよう。」

お気に入りのカフェのラテが飲みたくなって何時もより可愛い淡いピンクのワンピースを着て足を向けた。珍しく人通りの少ない道を歩き、可愛らしい夫婦が経営しているジェラード屋のテラスからは甘い恋人たちのおいしいね。という声が聞こえて、幸せそうでなによりと思い、顔を上げてみれば愛らしいブロンドの女の子と甘い言葉を吐く憎らしい相手、フィディオ・アルデナが立っていた。
私は口角があがるのを感じながら、実際うれしくて仕方がない口元に手をあてながら先ほどの言葉を呟けば、彼は甘くてとろけそうと形容された笑みでこちらを見ていたのだ。
直ぐに隣にいた女の子に一言言って手を振ればしょうがないわと言いたげに彼女は笑って手を振りかえした。
おっと、と呻けば私は白いミュールを履いた足を上げてみれば意外に足どり早く閑静な趣あるイタリアの石畳を駆けていく。
一応はスポーツをしている身として、追いかけとくる奴をプライドの高い私は振り切りたかったが、流石はイタリアの白い流星。ブーツの足取り軽い音が背後にどんどん近づいてくる。
端から見れば異様なのだが、この辺の地域に住む人はあまりにも日常茶飯事なことなので私や彼に応援の声を上げる。

「諦め、なさいよ!」
「無理っ!ねぇ、嫉妬した?」
「ふざけんなっ。」

行きたかったカフェを通り過ぎ、もう少し遠い場所に行こうと頭で考えていた矢先、ぐいと後ろに腕を引かれれば重力に従って体は後方に倒れていく。まって、勘弁してよ。そう思いながら眉を顰めれば案の定、男の子の胸の硬さが鼻先に当たった。

「捕まえた。」
「別れようか。浮気野郎」
「無理。」
「落とすぞ」
「一緒に濡れよう。」

私は少しばかり汗のかいた首筋を気にしながら、顔を上げればこんなもんじゃ汗なんてかかないよ、とでも言いたげに爽やかに笑う彼に少しばかりイラついた。
勘弁してよ。そう瞼を落とせば彼は鼻で笑い私の事を抱きしめる。鬱陶しいったらありゃしない。

「別れたい、よし別れよう。」
「無理、俺は君が好きだから。」
「私、マークの方がいい。彼の方が誠実なんだもの。」
「なんで?俺はちゃんと君に嫉妬して欲しいから浮気をするって言っただろ?」
「残念ね。そんなに子供じゃないの。諦めて。」

そう言うと怒ったように眉をしかめて不服そうな表情を私に向けた。これで私を放してくれれば彼をこのヴェニスにぼちゃんできるというのに面倒すぎて反吐がでそう。

「好き、絶対別れたりしないから。」
「絶対別れる。無理。」
「ホントは、俺のこと嫌いじゃないくせに」

そう言って上顎を掴むと彼は私の唇を上手に奪って弛緩した歯列をゆっくりと舌で舐めていく。勘弁して。

「死んで、」
「君が嫌いになるまで死なない。」
「カッツォ!」



浮気野郎に制裁を!
「おとなしく沈め!」
「ぎゃっ」

当分はまだまだこの関係は続きそうだ。





(*・ω・*)
朔田しゃんへ》》
ごwめんwww滅茶苦茶遅くなってそれにまた変な文章を送りつけるなんてwww
うああ


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