火薬委員長の独り言



私は昔、平成という世の人でした。誰かが飢えて死ぬ、合戦がある、なんてことはない、とても平和なその世界から私は死という追放を受けました。
目が覚めたらなんでしょう。幸せそうな両親が微笑みながら私を抱きしめているじゃあないですか。お前の名前は名前。そう呟いた瞬間に私は理解するのです。
私、もう戻れはしないのだと。
二つも年をとると、喜八郎という弟ができました。喜八郎はとても可愛らしく、何時でも私の後ろを付いて歩きました。まるで金魚の糞がごとく。
これが物わかりの悪い不細工な餓鬼なら捨ててやるのですが、なにぶん顔もなにもよくできた弟なのでそんな気持ちにはなりませんでした。
10になった頃に父に忍術学園に行くように言われ、可愛い弟を捨てて忍術学園に通いました。
忍術学園には随分ムカつく奴から、私に優しくしてくれる奴、様々な奴がいます。
今はこの学園で生き延びれた運命共同体な奴らが親友です。
親友と言えば、一人酷い頭の奴が私の後をストーキングする奴がいます。
そいつの名前は伊作です。
詳しく説明すれば、不運、イケメン、電波、病気(精神的に)。
救いようがない馬鹿なのです。しかし私は伊作を見捨てたことなどありません。根は可愛い奴だ、そうだ。そうなんだきっと!と信じて6年間。そろそろ心労が溜まってきました。
いい加減見放す勢いです。

「名前、」
「伊作、今すぐ腹を殴られて内臓破裂させるか、大人しく私の布団からでるか。私は優しいから選ばせてあげる。」

真横にある顔に微笑みかけれど伊作は満面の笑みで私を抱きしめるじゃあありませんか。

「僕は名前に抱きついてまぐわいたいんだ!」
「寝言は寝て言え。よし、喜八郎を呼ぼう。この病気野郎を埋めようか!」

私はどこでこいつの調教を間違えたのでしょうか。一体何が狂ったのか。
伊作は今にも私の着物を剥がす勢いで指を鎖骨に這わせる。おっと、本格的に危ないなぁ。

「いさ、く」
「名前、気持ちいいことしよ「名前先輩ィィィィ!」

すぱーん、と景気の良い音を鳴らし部屋の襖を開けたのはどうもまた見覚えのある黒髪でした。黒髪、もとい兵助は泣きそうな顔で襲われていませんか?!と伊作を引っ剥がした。

「だ、大丈夫。未遂だからね」
「よかった!おはようございます。」

ああ、おはよう。
なんか順序間違えてる気がするぞ。しかし私はそんなこと言わずに上半身を起こした。

「とりあえず、みんなわたしたちの部屋からでようか。」

まぁ、こんな世界が一番面白いのです。あっちの世界じゃあこんな平和になんて住めないんです。
どこかの変態がいたあんな世界、もうとうの未来に置いてきたんです。






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