裏切りに似た感覚




「名前さんですか?!ああっ、思ってたとおり綺麗な瞳をしているのですね!!」
「…」
「綺麗なお顔。まるで造形されたように美しいです。ああ、きっとあなたが私の運命のお人ですね!」
「うざいんだけど。」
「その冷たい態度がたまらないわ!ああっ」

明後日にある実地試験の準備をするために仙蔵に琴線を持っているか聞きに行こうと長屋を彷徨っていたが仙蔵はいなく、面倒だが学園の方に足を運んでいる途中この人に会うとは思わなかった。鬱だ。

しかもなんなんだこの人は。唐突に喜八郎君のお兄さんですか?!と声を掛けられ冒頭に戻るのだが、ウザいという言葉に物怖じせず、あまつさえ冷たい態度がたまらないわ。だと。
マゾか、マゾなのか。

「どちらにせよ、私は用事があるので退いていただけませんでしょうか」
「敬語なんてよしてください!私たちの仲ではありませんか。」

やべ、虫酸が走った。

「名前様、名前様、お好きなものをお聞きしてよろしいでしょうか。もし良ければお夕飯に!」
「五月蠅いよ、私に構わないでおくれ。」
「好きです、好きなのです!もう運命ですよね!私がこちらの世界に来たのはあなたに会うため、」
「五月蠅いって、言ってんだろ?」

馬鹿なの?死ぬの?
そう言うと花のような笑みを綻ばせ、私に「あなたに殺されるなら私、天にゆけます!!」はい、馬鹿決定。だめだ、気狂いだコイツ。そう思って私は捕まれていた腕を振り払えばああっ、と嬉しそうにされた。

「塵虫の分際で私に触らないでおくれ。」
「名前、様っ!」
「ちょっと、うるさ、」

バッドタイミングすぎるだろお前。ちょうど、私が医務室の前を通ったからか。医務室の戸を開けたのは伊作で、驚きのあまり行動を静止させてる。勿論私もだ。
この少女はあろうことか私の腕を引いて私にキスをした。うわ、舌入ってきた。
なに、大胆すぎるでしょ。また虫酸が走ってきたんだけど。かるく20も時間が過ぎると伊作も意識を持ったのか真っ赤な顔で私のことを飛ばした。

え、私?
「え、あの、」

「大丈夫、由香里さん?!」
「大丈夫よ伊作くん。でも、名前様が…」
「名前!!由香里さんに何してるんだよ」

信じられない。あの伊作が私を投げ飛ばすって。頭回らない。え、気分悪くなってきたんだけど。

「名前、君なんか嫌いだ。見損なった。由香里さん、医務室で少し休憩していって。」
「伊、作」
「最低だ、」


息ができない


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天女はドM\(^q^)/







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