帰ってくるその日まで2
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※キャラ崩壊ってレベルじゃない
※メンバーは「エースが禁止になった会」+α
※最終回後
「お疲れ様ー」
「お疲れー」
「先に飲んでいるぞ」
ネオ童実野シティのとある居酒屋。
ガラリと扉を開けて、店員に案内されたリューナを出迎えたのは牛尾とボマーだった。
ボマーの言葉通り、テーブルにはすでに空のジョッキが鎮座している。
「またこのメンバーで集まることになったわね…」
「帰ってこねぇもんな」
「……帰ってくる方が問題のような気もするしな…」
暗い顔でつまみを口に運ぶボマーを二人は宥める。
おしぼりで手を拭いたリューナが飲み物を注文すると、牛尾は視線を彼女の後ろに向けた。
「…で、何でお前らがいるんだ?」
声をかけられた人物は首を傾げる。
リューナが、ええと、と声を出そうとするのを遮ってその「人物」が口を開いた。
悪びれもせず。
「付き添いよ」
「ああ、付き添いだ」
それぞれアキと遊星の言葉であるが、牛尾は何故彼らが来るのか分からない。
「いやいや前までリューナは一人で来てたじゃねーか。今更付き添いってどういうことなんだ?」
ちらりとリューナを見るが、彼女は目を反らすだけだ。
遊星がリューナと付き合いはじめて過保護になったのは知っている。
それはまだ理解できるが十六夜までとは。
考えを張り巡らせると、ある結論に達した。
それはボマーも同じであるようで、二人は顔を見合わせる。
「…まさか」
「…そんな…!」
驚愕の視線を受け止めるとアキは笑う。
そうよ、と口角を上げると、胸をはって言い放った。
「ロンファが制限から準制限になったので」
「嘘だろう!」
「っていうかそういう集まりじゃねーよ!」
牛尾がつっこみを入れるが、アキは動じない。
リューナの腕と自身の腕を絡ませつつどや顔を向けた為、バカらしくなった二人は、今度は遊星の方を見る。
「で、遊星…君は?」
「デブリが制限解除されたからな」
「ちくしょういい笑顔しやがって!」
その場で立ち上がる牛尾をなんとか宥めつつ、リューナは自分のコップに口をつけようとした。
彼女自身の雰囲気は暗い。
「…?リューナはそういう知らせはないのか?」
気遣ったボマーが聞くが、彼女は首を横にふる。どうした、と更に問うと、リューナはジョッキの中身を一気に仰いだ。
「…竜騎隊とオピオンが制限になったわ」
「あっ…」
察して一斉に顔を背ける。
海竜族である竜騎隊と、グングニールがヴェルズ化した存在であるオピオンの制限化は少なからず彼女にダメージを与えているらしい。
なんとも言えない表情をしつつビールを飲み干すと、やけくそだとばかりに枝豆に手を伸ばした。
もぐもぐ食べていると、その横からアキと遊星が慰めるように頭を撫でる。
「よしよし…辛いわねぇ…」
「他のカードでフォローしていかないとな…」
エースが禁止になった会の二人としても、彼女の精神的ダメージはよく分かる。
縛りが多くなった分デュエルも厳しくなることが予想される。
遊星とアキに続いてどう慰めたものかと考えつつ食事を進めていくと、やがてその張本人から「デュエルよ!」という声が聞こえてきた。
「あ?」
「あの子たちなしでやれるってことを証明してあげるわ!」
「何も今でなくてもいいだろう…」
大分酔っているらしく、足元は覚束ない。
あーあーと手を差し伸べようとした途端、リューナは崩れ落ちた。
どうやら酔って寝てしまったらしい。
遊星が優しく抱き止めると、そのまま横抱きにして立ち上がる。
「すまない、寝てしまったようだから俺たちは先に帰らせてもらう」
「お、おう…」
牛尾とボマーに異論はない。
気をつけてな、と言おうとした瞬間、同じく酔ったアキが立ちふさがった。
「まちなさいよ」
「…アキ?」
「リューナはわたしがつれてかえるわ」
「いや、だが俺にはリューナの夫として守る義務と権利がある。気持ちはありがたいが、酔った女性二人でいさせるのも怖い」
「まだおっとじゃないでしょう…!いいから、わたしが…」
「…牛尾、ボマー、すまない…二人とも送って帰ることになりそうだ」
申し訳なさそうに告げる遊星に二人は手を振って了承の意を伝える。
彼らが店から出ていった後、残された牛尾とボマーはジョッキに手をかけるのだった。
「なんだか…当て付けられただけのような気がするな」
「………飲み直すか」
「そうしよう」
ビールを飲みつつ、つい先程までの喧騒を思い出す。
未だに帰ってこない自分たちのエースに比べて、アキと遊星のデッキのモンスターはなんと恵まれていることか。
それだけゴヨウとダーク・ダイブ・ボンバーが凶悪で、環境が変化しているのであるが、二人は触れずに飲み干していく。
無事に三人は家についたのだろうかと思いを馳せるが、答えが出るわけがなかった。
翌朝、二日酔いで頭が痛い牛尾のもとに一本の電話が入った。
見てみるとそれはリューナからのもので、彼は慌てて受話器をとった。
内容は、昨日先に帰宅したことを詫びるものだったが、最後の一文が彼の恐怖心を煽った。
「遊星が今度貴方とデュエルしたいと言っていたからよろしくね」
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夢主と遊星をいつ結婚させるかで悩んでる←
最後の一言はお仕置き的な意味のデュエルってことです。
何に対してのお仕置きかは読み手さんに任せます←
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