帰ってくるその日まで5
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※しっちゃかめっちゃかです
※2015/10/1〜のリミットレギュレーションの話です
※管理人の欲望ダダ漏れです
「はい、今回もあの子達帰ってこなかった訳だけど」
「お、おう、残念だったな」
とある居酒屋の一角。
酒を煽る少女の前に座る牛尾は大変に居心地が悪かった。
大体原因は分かっている。
今禁止カードに制定されているあいつの、親戚のようなカードが出たからだろう。
「貴方はいいじゃない。ゴヨウがいっぱい増えて」
ほらな。
また、ぐび、と喉が鳴る。
ジョッキを空にしたリューナがおかわりを注文すると、思いのほかすぐに運ばれてきた。
「だけどあいつらは俺が使った訳じゃねぇしあんま実感ねぇんだけどな」
「実感なんてその内出てくるんじゃない?」
「そうかぁ?」
「こっちは新規も貰えないのよ、ありがたいと思いなさい」
「それは思ってるけどよ。…っていうか今回の制限改定の話しようぜ」
「ノーデンとプトレが仲間入りね。ノーデンは水属性だからあの子の効果を使えばグングニールもドゥローレンもシンクロ出来たのに、残念だわ」
墓穴を掘った気がしないでもない。
えっと、と言葉に詰まる牛尾をよそに、リューナは続ける。
「あとは…影霊衣が規制されたかしら。シュリットいないと儀式出すの大変そう。Emに規制が入らなかったのは意外だわ」
「ああ、結構大会で入賞してるしな」
「ARC-Vでデニスが使ってるからかしら?…ああ、あとバルブが帰ってきたわね」
「…十六夜は何か言ってたのか?」
「すっごく喜んでたわ……あとフォーミュラー・シンクロンが制限解除だっけ?」
「…」
もうすごい怖い。
テーブルが少し凍り付き始めたのは気のせいじゃない。
「ゆ…遊星は」
「喜んでたけど、エクストラの枠がないって嘆いてたわ」
「あー…」
「まあこっちは帰ってこないおかげで枠空きっぱなしだけどね!」
「それは俺もだ」
「貴方はゴヨウ新規がいるでしょう!」
「だからあいつらは親戚のようなカードだし俺使ってねえって!」
会話がループする中、どこからか足音が聞こえてくる。
それは次第に近付いてきて、彼らのいるテーブルの横で止まった。
「リューナ、迎えに来た」
「…遊星…」
「おう、久々だな」
これでお開きかと安堵する牛尾をよそに、リューナは液体が残されたコップを持つ。
一気に飲んでしまおうと持ち上げた時、横から奪われてしまった。
この角度でそれが出来るのは一人しかいない。
ぐび、とそれこそ一気に飲み干した遊星は、コップを置いたと同時にリューナの腕を持った。
「なっ、遊星…」
「それ以上飲んだら身体を壊す。帰ろう」
「…でも、貴方はDホイールで来てるんでしょう、帰れないわ」
「歩きで来た。問題ない」
ぬかりなさすぎてぐうの音も出ない。
アルコールのせいで寝てしまいそうなリューナは大人しく頷いた。
「リューナが世話をかけるな」
「別にいいって」
空には星が瞬く。
耐えきれず寝てしまったリューナをおぶって、遊星と牛尾は同じ道を歩いていた。
「エースが禁止のままってデュエリストは意外と少ねぇからな、リューナの気持ちも分かるぜ」
「…そうか」
「ちゃんとケアしてくれよ」
「分かってる」
無事に彼と別れ、家に着いても彼女が起きる気配はない。
とりあえずパジャマを着せようと世話をしていると寝言が聞こえてきた。
「ん…羽、ぼうき…大嵐はいつ帰って…る、の…」
途切れ途切れで分かりにくいが、恐らく大嵐の禁止化と引き換えに制限になったハーピィの羽根箒のことだろう。
確かに下位互換が禁止で上位互換がここまで規制がかからないのは不思議だが、遊星はそれよりも自分に構わず寝てしまったリューナが不満だった。
「リューナと話せないと、寂しいんだぞ?」
頬を撫でるが、目を覚ます気配はない。
こうなったらゆっくり寝かせてやろうと、遊星は布団をかけてやった。
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シュリット制限とブリュ未帰還と大嵐未帰還に荒れて書いた。
ガセ情報で「今回はレベル6のシンクロ緩和あるよ!」って聞いてたので余計に(踊らされ乙)。
Emに関しては大会出ないのでスルーで。
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