飛び込んで泡飛沫 | ナノ


祓魔塾の男子メンバーと駄弁ることしばらく。漸く女子2人が到着した。
そこで一瞬の沈黙。で、すぐに燐がそれを破った。

「し、しえみ!? どうした? キモノは?」

そう、着物姿がデフォルトなはずのしえみが制服姿だったのだ。しえみは確か、正十字学園には通っていないはずなんだけど、なんで持ってんだか……と思ってたら、どうやらメフィストから支給されたらしい。まあ、着物って動きにくそうだし。
服ひとつで大分印象って変わるもんだ。

ちなみに、しえみは洋服を着るのが初めてだったらしい。なんて貴重な純和風少女だろう。私からすれば有り得ない。日本人だった前世でも、着物どころか浴衣さえ持ってなかったし。
で、制服の着方を平安貴族のような眉毛のツンデレ……神木出雲に聞いていて、それで2人は遅れたんだとか。出雲はあからさまに「なんであたしが…」と不機嫌な顔。

あれ、そういえば確か出雲って、しえみに「大ッ嫌い」って言ってた気がするんだが。私の思い違い? それとも出雲のツンデレ? にしても嫌いって言われた相手に平然と服の着方を教わるしえみは、やっぱり天然だ。んでもって何だかんだで教える出雲はツンデレだ。

「へ…変じゃないかな?」
「えーよ、えーよ! 杜山さんかわえーよ」
「あ…ありがとう!」

うん。しえみってば女の子。いや、女の子なのは知ってるけどね。そうじゃなくて、ここまで素直な女の子って最早天然記念物だ。
んでもって廉造は語尾にハートを飛ばすんじゃない。ついでに男子はしえみの胸を見すぎだと思う。確かに着物では目立たなかった分、ギャップ凄いけど。バストサイズは私と同じくらいか。純和風少女のくせにデカい。

「えーでは、全員そろったところで、二人一組の組分けを発表します」

何だか燐と軽い口論をした末に、燐の顔を叩いた若いメガネ黒子の先生……奥村雪男が口を開いた。若い若いと思っていたら、燐の双子の弟だった。まさかの同級生が教師とか。頭もかなり良いらしい。言っちゃ悪いが燐の弟には見えない。

「三輪、宝。山田、勝呂。奥村、杜山。神木、志摩」
「センセ。私は?」
「三永さんは入ったばかりなので、3人班になります。勝呂くん達の班に入ってください」

……正直実力なら班組まなくても平気だけど。念能力って非能力者からすれば、反則的に強いから。
まあ、それは置いとこう。竜士はともかく、顔の見えない山田サンは怪しい。かなり。

「んじゃ、とりあえずよろしく」

軽く挨拶したら、竜士にあからさまに舌打ちされた。ホント、嫌われたもんだ。山田サンの表情は見えないから、本当に怪しい。

どうも私は職業柄、顔の見えない人間や表情の読めない人間は、まず疑うくせがついているようだ。


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