飛び込んで泡飛沫 | ナノ


「成る程。つまりは祓魔師(エクソシスト)になれとおっしゃるわけだ理事長は」
「そういうことです」
「……別にいいけどね、私は。で、ついでに学校に通えと」
「ええ」

……だそうです。

結論、私はセレブ学校で有名な正十字学園と、祓魔塾っていう祓魔師になるための塾に、籍を置くことになったらしい。
この不審者はメフィスト・フェレスっつー名前で、そこの理事長だとか。意外とお偉いさんだった。
ついでに、一応ここは日本の首都らしい。懐かしいな、転生前ぶり……約14年ぶりか。私が住んでたのは首都の隣県だけどね。

まあ、とりあえず最低限の生活環境は整えてくれるっぽいし、私の希望で寮の部屋は個室だ。祓魔師は万年人員不足で、そんな状態だから為せた特別待遇なんだとか。それでいいのか理事長よ。私にとっちゃラッキーだがな。

そんなこんなで私、セツカ・グレイシア改め三永刹香は訓練生(ペイジ)になりました。
あ、三永刹香は偽名……っていうか、前世の名前ね。郷に入っては郷に従え、名前は日本名にしましたよっと。

……金髪碧眼て、絶対偽名ってバレるだろうけど!
長い金髪は正直邪魔だけど、前世引っくるめて初めてできた1つ下の彼氏にせがまれて伸ばしている。その彼氏ってのがまさかの原作主要人物っていうね。ほんとどうかしてる。

……ていうか、三永の姓持ち出した本音は、グレイシアの姓で祓魔師になりたくなかった、ってことなんだけど。だってグレイシアは誇り高い殺し屋の血筋。私はその名を汚したくない。

そりゃあね、転生後すぐには殺し屋なんてしたくなかったさ。だけど、あの世界に馴染む内に、嫌悪感は無くなっていった。
私が生きていく世界だから。受け入れざるを得ない、ってのもあったけど、そんな稼業も今や誇りだ。人生どんな変化があっても可笑しくないって実感したね。

私は殺し屋グレイシア現当主の一人娘。セツカ・グレイシアに、殺し屋以外の役目はいらない。


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