淡い光に儚い夢を | ナノ


暑苦しさを感じた。それはこの真夏日、珍しいことでもない。冷房を付けっ放しで寝るわけにもいかないので、大抵夏は暑くて目が覚める。

今日も、そうだった。いつもと何も変わらない。はず、なのに。

「……だれ…?」
「それはこっちの台詞だな。お前誰だよ?」
「え…押し倒されてる……?」

思わず暢気な台詞が口から漏れたが、これでも脳内パニックである。
なんせ朝起きたら、私の上に黒髪そばかすな女の子がいたんだもの。

「ちょっとユミル! 寝てる人に跨がるなんて失礼だよ」
「……増えた…?」

声が聞こえたので、そばかすちゃんに押し倒されている状態のまま顔を右へ。
天使がいた。いや、正確には金髪に青い目の可愛らしい女の子がいた。全体的に身体の造りが小さい。明らかに外人さんだ。

「えぇと……つかぬ事を伺いますが…、何で私の家の寝室に?」
「は? ここお前ん家の寝室?」
「見る限りでは。ていうか昨日ここで寝たしなぁ、私」
「……なあ、クリスタ」
「うん。昨日はちゃんとベッドに入って寝たはず」

つまりどういうこと?

「お前……私らに何した?」
「えー……私知らないんだけど……」

気持ちはわかるが責任転嫁はしないで欲しかった。





取り敢えずそばかすちゃんに退いてもらって(その際そばかすちゃんでなく金髪ちゃんに謝られた)、顔を洗って寝間着から部屋着に着替えた。

腹が減っては戦は出来ぬ、いや戦じゃないけど。でも精神的に疲れる話になりそうな予感がしたので、朝食を先に作ることにした。食べながらでも話せるしね。

「二人は、お腹すいてる?」
「え?」
「今から朝ご飯作るから…、あ、食パンと卵くらいしかないけど!」

変に期待されても困るしなぁ。一応、一人暮らしの嗜みで料理は一通り出来るつもりだけど、朝から凝ったものは作りたくない。

「卵!?」
「卵があるのか!?」
「え、卵くらい普通じゃない?」

私がそう言うと、二人は顔を見合わせて何やら話しはじめた。

その間に私は卵三つとおまけでベーコンを取り出した。スクランブルエッグの方が私的には楽だけど、今日は目玉焼きを作ろうと思う。





出来上がった目玉焼きを、既に焼いておいたトーストの上に置いていく。片手間に作ったレタスとトマトのサラダを皿に盛って食卓に運ぶと、先に案内しておいた二人の目が心なしか光ったように見えた。

「こんなものでごめんね、これでもいつもよりは……」
「い、いえ、ご馳走してもらっちゃってすみません」
「ん。じゃあいただきます」

いただきます、と復唱した声に少しだけ笑う。

「美味しい!」
「おい、これ肉も入ってるぞ」
「え、肉っていうかただのベーコンだけど……美味しい?」
「美味い」

……ああ、何だか楽しいかもしれないなぁ。


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