Present | ナノ


※幸福理論と淡夢のコラボ
※淡夢完結後IF



ベッドの上で、女子三人が見つめ合っていた。

(何だろう、このデジャヴ)

その内の一人、ベッドの持ち主でもある藍織は、似た感覚に苦笑いしながら他の二人に尋ねた。

「えぇと、つかぬ事を聞くけど……もしかして、訓練兵の子?」
「そうだけど」
「……あ、うん。少し待って、少しだけ」

ユミルとクリスタが帰ったと思ったらまたか! と少しだけ藍織は泣きたくなった。





「……で、そんなワケで、此処はあなたたちにとって異世界なんだけど。……わかった?」
「えーと……多分、分かりました」
「敬語じゃなくて良いよ。セレネ、だよね」
「うん」

どうやらまたしても異世界からお客様を迎えてしまったらしい、と覚った藍織は、取り敢えず全力で説明をした。幸いなことにお客様、セレネとアニは藍織のような現実逃避癖が無かったようで、すんなりと話は進んだ。
うわぁ、ユミル大変だっただろうなぁ、私に説明するの。と藍織は今更ながら思う。現実逃避されなくても非科学的な説明をするのは難しいものだ。

「アニも、大丈夫?」
「一応ね。信じ難い話だけど、あんたの話は作り話にしては詳しいから」
「えぇと、そんなわけなので、此処にいつまでいるかはわからないけど、取り敢えず……朝ご飯食べない?」

美味しいものあるよ。と藍織は笑って二人をリビングに連れて行った。





メニューはユミルとクリスタが来た初日と同じもの。手が込んだ料理は朝は胃に重いし、かと言って手抜きは悪い気がしたのだ。

「お待たせ」

手伝いを申し入れてきたセレネを押し切って、藍織は食卓に朝食を並べた。

「……美味しそうだね、アニ」

きらきらとした目でセレネに言われて、少し気恥ずかしい。向こうの世界は食糧難らしいので、想像していたことだとはいえ。アニはアニで表情が明るくなっていて、

(向こうの女の子って何で皆可愛いんだろう)

割と本気で藍織は思った。





食後の食器洗いは手伝ってもらうことにした。アニが洗って、セレネが拭いて、藍織が仕舞う。一番楽な仕事だなあ、と藍織は笑った。二人がそう割り振ったのだ。

「二人は仲良いんだね」
「……セレネからは目、離せないからね」
「可愛いもんねぇ、セレネ」

それに少し、危なっかしそうな子だ。とは心に収めた。

「アニも可愛いよ」

にこり。笑ったセレネにうわ、と藍織は思った。確かにこれは目が離せない。
そしてアニに目をやって、この二人可愛すぎる、と内心悶えた。クリスタがいなくなって足りなくなった癒し成分が補給された。

「アイリ、クリスタも可愛いよね」
「可愛かった」

あれ、何でこんな話してるんだっけ、と思いつつ、藍織は笑った。

まあ、いいよね。平和な会話って素敵。

のんびりとした柔らかい空気が、三人を包んでいた。



130802

雪兎様のサイトが三周年を迎えたことを記念して。何だか微妙な出来で申し訳ないです。あと終わり方も……。
勝手にセレネちゃんお借りしてすみません、貰ってくれると嬉しいです。




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