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二度あることは三度ある、とは言うが。

「三度あることは更にもう一回あるんだね」

もうこの展開は良いよ、と流石の藍織も現実逃避が出来ず、溜め息を吐いた。

「今日はお前らか……」
「あ、でも皆から大体の話は聞いてるから大丈夫だよ」

今日はマルコとジャン。どうやら説明はカット出来そうだとユミルとクリスタは些かほっとした。





「じゃあこっちの時間の一日は一秒にもならないってこと?」
「そうなんじゃねーの。コニーが俺の目の前で騒ぎ出したからな」
「そりゃあご愁傷様だな」

説明はカットされたが、藍織の現実逃避のネタは増えていた。時間軸の話など異世界だのトリップだの考えると今更な気もするが、藍織の頭はキャパシティーが大きくないのだ。

「コニーの奴、いきなり体制崩したと思ったら突然『戻った!』とか叫び出したからな」
「……もう意味解らないよ頭痛い……」
「大丈夫?」
「マルコ、こいつまともに心配するだけ損だからな」
「ユミル酷い……」
「でも気持ちは解るよ。僕だって自分で体験しなかったら信じてないと思う」

マルコのフォローに苦笑いして、藍織は作り置きのアイスティーを啜った。ちなみにこれ、クリスタが作ったものである。

「まあ、お前らにとっては良かったんじゃねぇの?」
「私たち?」
「一年いたって帰ったら十分足らずだろ」
「あ、」
「ああ、そういうことか」

ずきり、と。一瞬酷く胸が痛んだ。

「アイリ、大丈夫?」
「……ん、大丈夫。ごめんねマルコ。初対面で心配ばっかり」
「それは全然良いよ。お邪魔してる身だし……」
「それは何か……今更って感じかなぁ」
「それもそうか」

なんせイレギュラー四日目な上に元々ユミルとクリスタが居候している家である。

「でもアイリのところで良かったよ」
「……えぇと、どういう……?」
「他の人じゃ受け入れてもらえなかったかもしれないだろ。アイリで良かった」
「……ねぇ、それって天然?」
「少し狙ってた」
「え」
「あはは、冗談だよ」
「あ、だよね。びっくりした」

優しく笑うマルコに、一先ずは藍織の痛んだ気持ちも緩んで解けて。取り敢えず、今日も一日乗り越えよう。なんてことを思ったのだった。


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