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「うん何となく分かってたよ、もう」
「美味しそうな匂いがします!!」
「うおーっ、何か腹減ってきた!!」
「面倒臭ぇ奴が来た……」

二度あることは三度ある。今日も今日とて異世界からのお客様が藍織の家にやって来た。

「今日はサシャとコニーだね」

にこにこと最早動じないクリスタは、ある意味最強だった。





流石に回数を熟したユミルとクリスタの説明は滑らかだった。ちなみに藍織は、既にユミルに戦力外通告を受けている。
そんな説明を特にこだわることもなく聞き流した今日の新入り、サシャとコニーは、世界を渡った事より食事の方が重要らしい。

まあ朝食もまだ食べていないので、昨日の残りでも食べようか。そう藍織が二人に告げるとびっくりするくらい喜ばれた。台所に向かう藍織を追い掛けて来たのはユミルだけで、どうやら他のメンバーはクリスタによって食卓に案内されているようだ。

「珍しいねぇ。いつもはこっちに来ないのに」
「あいつらは相手したくねぇんだよ……。あ、そうだアイリ。間違ってもあいつら、特にサシャは台所に入れるなよ。食糧食い尽くされんぞ」
「? わかった」

このユミルの台詞を藍織が理解したのは、実際に食べる姿を見た時だった。





「うめーっ! アイリこれ超うめぇよ!」
「そ、それは良かった……」

身体半分引いている藍織を見て、クリスタが苦笑している。ユミルは疲れたように溜め息を吐いた。……見てるだけでお腹いっぱいだ。
一口食べて感想を言ってくれたコニーはともかく、サシャは何も言わずに物凄い勢いで食べているのだ。ユミルの忠告を受けて大盛りに盛ったカレーがあっという間に消えていく。

「ふぅ……。美味しかったです! こんなに美味しいもの久々に食べました」
「そっか……食べるの速いね」
「美味しかったのでいつもより速かったですかね……あれ、ユミル食べないんですか? じゃあ私が……」
「おいふざけんなよサシャ。これは私のだからな」

何だかんだ言って全部食べるつもりらしいユミルに、サシャは目に見えてがっかりしている。思わず藍織はサシャの皿を持ち上げた。

「お代わりあるよ」
「本当ですか!?」
「あ、じゃあオレもお代わり!」
「良いよ。ちょっと待っててね」
「あ、アイリ、私が……」
「クリスタまだ食べてる途中でしょ。ほら座ってて」

昨日の残りのカレー、本当はカレースープでも作ろうと思っていたけれど。
あんなに美味しそうに食べてくれるなら、今日の夕食はもう少し凝った料理を作ろうかな。そう思いながら、藍織は鍋に残っていたカレーを全て皿に注いだのだった。


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