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※淡夢番外編



それは、あの日と同じ様に唐突で、常識外れの出来事だった。





「あなたたちが来た時にね、私常識なんてアテにならないなぁ、って思ったの」
「……アイリ、目が虚ろだよ」
「私が思ってた以上に常識って無意味だったんだね……」

うふふふふ、と虚ろな目で笑う藍織はあまりにも不気味だった。
無理もないけどこれは酷い、とユミルは遠い目をする。取り敢えずクリスタに藍織を任せて、ユミルは事の発端に向き直った。

「で? 何でお前らが此処にいるんだよ」

リビングで状況の理解出来ていなさそうな表情をしているのは、同期であるエレン、ミカサ、アルミンの三人だった。

「ユミル。此処はどこ?」

ユミルの問い掛けから数分(誇張ではなく)、漸く立ち直ったらしいミカサが口を開いた。他二人は未だ放心中だ。

「あー、早い話が異世界ってとこだな」

……ここから先、まるであの日の朝食会議と内容が同じなので割愛する。ちなみにユミル曰く、藍織に説明するより三人に説明する方がよっぽど楽だったらしい。





何とか現実に戻ってきた藍織は、新入り達と自己紹介をした後、何故かゲーム機を握っていた。

「よっしゃー! また勝った!」
「ぎゃはははは! アイリ弱ぇー!」
「んー、エレン強いなぁ」
「エレン代わって。次は私がやる」
「ミカサ、私と代わって。疲れちゃった」

何故こうなったかと言えば、エレンとアルミンが異常なまでに家電に食いついたからで。流されるがままにテレビに向かってコントローラーを握っていたのだ。

「お茶入れたよ、アイリ。お疲れ様」
「ありがとう、クリスタ。アルミンはやらなくて良いの?」
「僕は見てる方が良いかな」
「本当は私も見てる方が好きなんだけどね」
「そうなんだ。楽しそうだったけど……」
「弟以外とやるの、久々だったからかも」
「アイリって弟いるんだ」

アルミンとのんびり会話を楽しむ藍織の後ろで「ミカサ手加減しろよ」「……悪かった。次からは手加減する」「エレン、次私だからな」「あなたには、手加減しない」と盛り上がっている。

「楽しそうだね、みんな」
「あれ、クリスタも良いの?」
「話してる方が楽しいもの」
「おーい、クリスタもやろうぜ」
「あはは、ユミルは相変わらずだなぁ」

穏やかに笑うアルミンとテレビを前に盛り上がるエレンとミカサを見て、まあ悪くも無いな、と藍織は小さく微笑んだ。


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