2nd Anniversary | ナノ




  有限の刻を慈しもう-EX


※オマケっていうかカット部分っていうか。



「なんかさ、すごい格差感じちゃうよねー」

軽い調子で言い放った夕雨は「何が?」と寄せられる視線に肩を竦めた。

「だってさ、あたしらくそ狭いアパートに二人暮らしでしょ? 引き換え瑠唯はこの広い豪邸に実質一人暮らし。いやこんな広さ正直いらんけど」

両親を失い孤児である朱雨と夕雨は、院には入らず、両親から残された財産を元に二人で暮らしている。
瑠唯の両親は健在だが忙しい人で、今日も今日とて出張三昧だ。

「まあ確かに宝の持ち腐れ感はするけどな……」

瑠唯は夕雨の言い草に苦笑いする。他の人が言えば角が立ちそうな夕雨の言葉は、不思議なことに夕雨が言うと何の抵抗もなく鼓膜に溶ける。

「でも、白銀先輩の家も大きかったような気が」
「ああ、そういえばそうですね。以前、マスターの家ではなく白銀の家に泊まるという話も出ましたし」
「あー……まあデカいっちゃデカいが」

瑠唯と紅桜の指摘に白銀は苦笑。一方朱雨の顔から完全に表情が抜け落ち、夕雨はからからと笑った。

「あー、そっか。二人は知らないのかー」
「俺ん家大所帯だろ? まあそれでも4人くらい泊まれるスペースはあるんだけどな……」
「あの家に泊まるくらいなら外で寝る」
「……うちの我が儘姫がこの調子で」
「白銀黙れうざい」

白銀の家は、女4人、男5人の大所帯である。父親は単身赴任で中々帰ってこないにしても、料理が壊滅的な母に代わり8人分の料理を常日頃から作る白銀の料理の腕が上がるのは必然であった。

そして、その内の三女、つまり白銀の妹と朱雨は、酷く馬が合わないのであった。



140204

蛇足だったのでカット。三女ちゃんの名前は紫紺。どこかで見たことがある人もいるかもしれない、毒舌ちゃんです。


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