クリスマス2013 | ナノ




  愛し君からのプレゼント


※マギの世界にはクリスマス無さそうなのでIf扱いで。
※つまり矛盾とか違和感には目を瞑ってください。
※恋人設定



「蒼麗、クリスマスって知ってる〜?」
「クリスマス……ですか?」

12月25日、クリスマス。昨日紅玉がクリスマスがどうだのイヴがどうだの、きゃっきゃとはしゃいでいたので、紅覇はクリスマスの存在を思い出していた。
普段ならあまり気にしないイベントだが、今回は違う。

人の好意に対して鈍感な蒼麗と、漸く恋人同士になれて初めてのクリスマス。プレゼントとケーキくらいは、そう思い立って昨日気付いた時点で買ってきていた。

が、そこで蒼麗がクリスマスを知らない可能性に考え至った。彼女は結構、世の中のイベントに疎い。

「その顔は知らないみたいだねぇ」
「すみません……、耳にしたことは、あるのですが」
「謝んなくて良いよ〜、何と無くわかってたしぃ」

肩を竦めて、適当にクリスマスの説明を。
地域によって、恋人と過ごす日という考え方も、家族と過ごす日という考え方も存在する。煌帝国ではどちらの考え方も有名だが、紅覇は敢えて『恋人同士が過ごす日』ということを強調した。鈍い蒼麗にはこれくらいで丁度良い。

「恋人同士が過ごす日、ですか」

呟いて、面映ゆそうに頬を染めた蒼麗に、はい、と簡易な包みに入ったプレゼントを差し出した。

「これは……?」
「さっき説明したでしょ、プレゼントだよ〜」
「! ありがとうございます……!」

ぱあっと顔を嬉しげに輝かせた蒼麗は、しかし一瞬の後に困ったように眉を寄せた。

「あの……でも紅覇様。私、紅覇様に何も用意していません」

どうしよう、という表情に「別にいらないし〜」と安心させるように頭を撫でてやる。
それでも尚、複雑そうな顔をして俯いていた蒼麗は、不意に顔を上げた。

「あ、あの。一つありました、差し上げられるもの」
「え? なぁに〜?」

首を傾げた紅覇に、一瞬迷ったそぶりを見せた蒼麗は。

「……えいっ」

何やら小さく可愛らしい掛け声と共に、紅覇の首に両腕を回した。驚愕で硬直する紅覇を気にする余裕も無いのか、蒼麗は染まった頬で。

ちゅっ。

触れるだけのキス。お互いの唇が離れた途端、首に掛けた腕も外して蒼麗は少しだけ、紅覇から距離を置いた。

「……っ、蒼麗、」
「えと、あの……! 以前紅覇様が、私から、その、口づけを、して欲しいとおっしゃっていたので……!」

キスだけでいっぱいいっぱいだった蒼麗。彼女に以前、言ったことがあった。

『今は仕方ないけどさぁ……慣れたら蒼麗からキスしてくれたら嬉しいんだけど〜』

紅覇自身、あまり覚えていなかった台詞。
それを蒼麗は覚えていて、今、精一杯の口づけをしてくれたことが、酷く愛しくて。

「……あの、紅覇様?」
「も〜……お前可愛すぎでしょ」
「え、え!?」

僅かに置かれた距離を一気に詰めて、華奢な身体を抱きしめた。
焦ったような声を上げてますます真っ赤になる蒼麗が可愛くて、声を上げて笑った。



愛し君からのプレゼント


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