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※ヤンデレ注意



細い腕は痣だらけ。手首に冷たい鎖を携えたまま、なまえという少女は一人、震えていた。
コツコツとまた、味気ない靴音が反響する。その音を耳にしてなまえは顔を上げた。その目には光がない。霞が掛かったかのような淡い水色の瞳には、視力が無かった。

「なまえ」

ギギィと古い鉄のドアの鳴いた音と共に男の声がする。彼は楽しそうに笑いながら、なまえへと近付いた。

「今日は何をするか?」

金の混じった茶髪の髪を引っ張りながら、男――フェイタンが尋ねた。
なまえは相変わらず震え、その質問には答えない。

「喋れなくなたか?ワタシ、喉は痛めてないはずよ、ほら、言うね」

右手でなまえの左手の指を握る。折れてしまいそうなところで止め、今度は違う指にそれをする。

「……殺してよ」

なまえは色の無い声で呟いた。苦しいのに、楽にならない。それならいっそのこと殺して、なまえはそう懇願した。

けれど。

「嫌よ」

フェイタンはさも愉快だと言うように、口角を上げて言った。

「お前はワタシの玩具ね、逆らうなんて許さないよ。だから飽きるまで、殺さない、分かたか」

バキ、なまえの手首の骨が鈍い音を立てた。それと同時に、彼女は意識を手離した。

どうして、こんなに好きで――愛してるというのに、なまえには伝わらないんだろう。彼の頬に一筋の涙が流れたという事は、
煌めく夜空の星々しか知らない。



12****

つかさ様よりキリリクで頂きました。ありがとうございます。
こういう歪んだ愛情系のお話が私は大好物です……!


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