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※アオの象徴番外編



何も代わり映えしない一日の終わり。
大して疲れてもいない体を癒し、ソファでお茶を飲んでいるときだった。

『髪の毛、伸びてきましたね。そろそろ切り揃えますか?』

あまり気にかけてない毛先を確かめてみると、確かに紅桜の言うとおり傷んではないものの(まあ、紅桜が色々と世話を焼いてくれるので傷むわけがないが)、長さが少し揃ってない。
でもそれは本当に、ほんの少しだけだ。
これくらいで不快に思う人はいないだろう……。

洗ったばかりの毛先を弄びながら、口元を呆れたように緩める。
このままだと、明日あたり髪を切るついでといって色んな髪型にさせられそうだな……。
そのままとんとん拍子に服も、なんてことになったら最悪だ。

「んー……、別に切り揃えなくてもいいと思うけど、そういえばそろそろシャンプー切れそうだよな」

そろそろと言っても後一週間は余裕で持つが。
とりあえず、今は話を変えよう。

そう思い、髪の毛関連の話で紅桜の関心を逸らそうと思ったのだが話が思いの寄らない方向へと進んだ。

『そうですね。そろそろ新しいものを………!』
「どうした?」
『……マスター』

いきなり考え込むかのように黙った紅桜。
それを不思議に思い声をかけると、急に顔を上げた。

『ジンさんと行った美容室を教えていただけませんか?』


……え、っと。
ジンと行った美容室……?

そもそもジンと一緒にどこかに行ったなんてこと自体あまりない俺に紅桜の指すものを思い出させるのは簡単だった。

血に塗れたスーツを誤魔化すため、ジンに連れまわされた店の一つのことだろう。
丁度、ジンの携帯を真っ二つにしたところだ。


場所は……覚えてる。
だから、紅桜に教えることは出来る。
だが!その前に一つ確認だ。

「いいけど、どうしてだ?」

このとき俺は了承の言葉を口に出したのを後悔することになる。
きっぱり嫌だって言っておくべきだった…。

□■□■□■□


埃臭い道から、逃げるように心地の良い店内へと入る。
ふぅ、と一息つくと既視感を感じるハイヒールの音が響いた。
ああ、あの俺を落ち着かせた香水はもう変わっているらしい。香るそれは落ち着くようなそれじゃなく、刺激的な香りになっていた。けれど決して不快になるような匂いじゃない。寧ろ好きだ。

「お久しぶりです」
「ふふ、また来てくれるとは思わなかったわ。今度は別の美女も連れて、ね?嬉しいわ」

紅桜のほうを向いて綺麗な笑顔を見せたお兄さんは、女性が持つ色気と男性の色気が混ざっていて凄く素敵だった。

そろそろ、名前が知りたいな。と思っているとさり気無く腰に付けられたネームプレートに気が付いた。
……きっと、初めて来たときもあったのだろうけど、あの時は結構精神的に余裕がなかったからな…。それとも顔のほうばかりに目がいっていたのだろうか?そうだとしたら失礼なことをしたな。


紅桜がいきなりこの美容室のことを俺に尋ねたのは、なんでもここのシャンプーの匂いが気に入ったから、なんだそうだ。
しかも、俺の髪質に合っている(これは俺にはよく分からない)。
あの時は、俺の格好に気を取られていたらしいのだが、昨日シャンプーについての話になったときにそれを思い出したらしい。
店の名前を俺から聞き出すや否や、恐ろしい速さでこの美容室をことを調べ上げ予約をした紅桜に俺はもしかして選択を間違えてしまったのか…?と震えた。
…まあ、恐らく間違えたんだろうから、震えてて正解なんだけど。

「さあ、こちらにどうぞ?」

アンリさん(名前まで綺麗でビックリした)に促されるまま座らされた座り心地の良い椅子。
初めて来たときとは違う豪華な個室。
いわゆるこれがVIPルームと称されるものなのだろう。

俺、結構この人に気に入られてるのかなー…とか思いながら、いらんと言ったはずの毛先を切り揃えられ、優しく髪の毛を洗われた。
俺と紅桜とアンリさんしかいない個室には、常にトーンの高い弾んだ声が響いていた。
カットをしているときに意気投合したのか、会話の主は紅桜とアンリさん。この二人の話に着いていくのは結構難しい(だって、今はやりの化粧とか服とか……、分かる気がしない)。

昨晩、シリーズものの小説を読破してしまった俺は睡眠不足。
故に眠気に襲われて、アンリさんと紅桜の会話の中でも特に盛り上がった件についてよく聞いてなかった。
いや、聞いてなかっただけならまだいい。
その時は丁度、最上級の眠気に襲われているときで、つい………つい二人からの問いかけに頷いてしまったのだ。

きゃっきゃとはしゃいで二人がそれの準備を終えるころに眠気が覚め、自分が最悪な状況に陥ってることを理解した。
……正確には眠気の淵にいるときに二人のはしゃいだ声に疑問を持ち
「なんで二人とも楽しそうなのかなー……、んーあれ?俺、何かさっき頷かなかったか……?なんだっけ、えーっと…………あ、あー……ん?!え、ちょコレ寝てる場合じゃねえ!!」といやが上にも現実に引き戻された結果なわけなのだが。





___「前会ったときは可愛い服だったのに今日は雰囲気違うわねぇ」
『ええ、マスターはあまりそういう服は好まないんです』
「あら!勿体無いわね。確かにクールな服も似合うと思うけどいつもなの?」
『おかげであまり髪型を変えることがなくて……、もっと色々な服を着ていただければいいのですけど…』
「……ねぇ、紅桜さん」
『どうかしましたか?』
「どうせだったら、今この場でルイちゃんに色んな服を着てもらいましょうよ!ここにはメイク道具がいっぱいあることですし、服だって契約してる店に頼めばすぐに届けてくれるわ!」
『!!』
「どう?あ、もしこの後用事があるのだったら、いいのだけれど……」
『いえ!とんでもない!!私からも是非お願いします!
…………マスターもよろしいですよね?』
「……ん、あー……うん…………」
「よし!ルイちゃんの了承も得れたことだし、早速準備しましょう」
『ええ!』 _________



…………わざわざ、眠りの状態を確認してから聞いてきた紅桜が恐ろしい。
ちょうど俺が覚えているような、絶妙なタイミングで話を振ってきたぞ、アレ。

あー……、これで俺が覚えてなければ話は違ったものの…くそう、紅桜め………。
……気づかれないように逃げる?

後が怖いので却下だ。
今から説得する?
逆に言い含められる、無理だ。

結局諦めるっつう選択肢しか残ってないじゃんかよ……。

うわー……と、諦めたように天井を仰ぎ見る。
時間があったら、サイさんのとこ行って色々と微調整してもらおうと思ったんだけどなぁ。
万が一時間が余ったとしても、俺の余力が残っているわけがないので、それは叶わないだろう。絶対。

□■□■□■□


『まずはマスターはスレンダーで脚が綺麗なので、基本的に脚を強調する服をいつもお選びしています』

やけに弾んだ声で呼ばれ、何故か眼鏡をかけている紅桜の横に立たされている俺。
目の前には何やらメモ帳を持っているアンリさん………。
あまり物が置いてなかったシンプルな個室には今やその見る影もなく………ものすっごい量の服が部屋の空間を支配していた。
その服のバリエーションも豊富なことで、無地なシンプルなものからゴテゴテのゴスロリやロリータなもの、着物やアオザイやドレス、果てには水着まであった。


これはどう考えてもおかしいぞ?


いやいや、確かにこの辺りには色々なお店がある。
でもだからといって、着物?チャイナドレス?
着物を取り扱ってる店がヨークシンにあるということ自体驚いたが、すぐそばに素晴らしい存在感を放っているそれが数着……そのどれもが高そうで…とても俺好みだ。
それとチャイナドレスだ。
チャイナドレスにも色々種類はあるのだろうが、そこに並べられてるのは体にピタッとフィットしたタイプのもの。
俺のサイズを知っている紅桜でないと頼めない品だが………、なにヨークシンって古今東西、色々な服を売ってる街なのか?
え?いや、だってあの二人が騒ぎ始めてからまだ一時間弱しか経ってないのに、なんでここまで用意できるの?おかしくないか?

『では、まずは大人っぽいセクシーな感じからですね!』

ぐるぐると思考を巡らせている間にも紅桜は非情なことに言葉を紡ぐ。
セクシー?
いやいや、なんでそんなものを着なくちゃならん。

はい!そこのアンリさん、じゃあコレかしら?とか言って、きわどいもん出してこないで!!
誰がそんな背中も腹も出た服を着るんだ!?

アンリさんのキラキラとした瞳を総無視し文句を心の中で連ねる(実際に口にはしない)。

『そうですね…、そういうのは後2、3年経ってからの方がより魅力的だと思います。今は、こういうのが一番いいですね』

そう言って出されたのは、ボディコンのような裾に生地と同じ紺をあしらった服とレザーのライダース。靴は俺がサイさんに貰ったようなブーツだったが、革製ではないようで独特の光沢は無くのっぺりとした印象を受けるもの。

紅桜に着せ替え人形とされるのは、もう何回か経験してるのでこういう着替えはもう素早く無駄なく出来るようになった。こんなこと早くなってもあまり得はしないが。

「確かにいいわねぇ……。抜け感が無いように見えるけど、白い綺麗な脚がよく映えて綺麗だわ…。これだったらニットのワンピースなんかも似合いそうねー……。次は、フェミニンな感じが見たいわ!」
『ええ、勿論です!フェミニンなどの可愛い系はマスターが並々ならぬ拒否反応を起こすのであまり着ていただけないのですが、そこはもう常日頃からマスターに合う服を想像している私です』

そう言いながら今度は、レースがついた服を選び出し俺に寄越してきた。
あと、んなこと常日頃から想像しないでくれ。

眉間に皺を寄せながらだが素直に受け取り試着室で着る。
うわぁ、かわいいー。
着てるのが俺じゃなかったら、素直に褒めていた。
だがしかし、着ているのが俺でどう褒めろというのか……。

試着室のカーテンを開け、笑顔のアンリさんに毛先を巻かれた。

「うん!やっぱり可愛いわね!やっぱりルイちゃんには控えめなフェミニンが合うわ」

着ているのは薄ピンクの空気をまとうようなワンピースに白い透け感のあるカーディガン。
紅桜が足を見せるのが良いと言ったのにも関わらず、下に黒いタイツを履いているのが凄く気になるところだ。
仏頂面をしながら(だって着たくないんだもんよ)、紅桜に聞けば、
『黒タイツに限らず、ぴったりとしたジーンズでも同じことですよ。…………着てみますか?』
ただし、その服ではなく、こちらの服に着替えてもらいますが。とばかりに視線をずらした紅桜に俺は何も言えなかった。自分から疲れるような真似を誰がするか!
『あら?制服まで揃えられたんですか?』
一瞬だけ残念そうにしたあと、ある一角を指さした紅桜。
そこには紅桜の言葉にもあるように、可愛いデザインの制服が…………。

いやいやいや、おかしいぞ。
だって、ここら辺って確か学校ないぞ?!なんで、そんなところに制服売ってる店があるんだよ!

「ええ、コスプレ専門店が近くにあるのよ。その中でもお勧めのものを持ってきてもらったわ」
「こ、コスプレ……」

答えは案外シンプルで、実に危ないものだった。
アンリさんのその答えだけで、こっちの精神はかなり荒立ったのに、さらにこちらをドキリとさせる言葉を続けた。
あ、勿論恋愛的なものじゃなくて恐怖を感じるものだけどな。

「ルイちゃんは、ハイソとニーソとタイツどれが似合うかしらね…………?」

至極真面目そうに呟くアンリさんの頭は大丈夫だろうか?

『丁度、黒タイツを履いていることですし試してみましょうか』
「そうね、そうしましょう。セーラー服とブレザー両方よね?」
『ええ、勿論です』

え、両方着んの?

問答無用で手渡される制服。
ついでとばかりに、ニーハイとハイソもある。

絶対領域が…、いやでも清純系も……とか何やら話し合っている二人の前で全部を着比べた。

その結果。

『セーラー服だと純粋に紺のハイソが一番で……』
「ブレザーだと、絶対領域を綺麗に見せつけるようにするのと冬は黒タイツをと分けたほうが良いわね!」
『ええ、セーラー服は膝上丈が丁度いいですし、………あ!でもやはりニットのセーラーだとスカート丈は短くていいかもしれませんね。そのときは問答無用で黒タイツですね!』

……………うん、よく分かんね。
熱く語っている二人には申し訳ないが、靴下の長さなんてぶっちゃけ、どうでもいい。
なんか、足を綺麗に見せるため〜とか言われて、スカート折られたけど…………正直あそこまで短いと心もとない。
そう言ったら、丈の短いスパッツを渡されたが。

いちいち脱ぐのも面倒なので、やけに丈の短いスカートにげっそりとしながら、異常なほどの服を見て回る。

うわー、これ際どすぎる……。と、えらくスリットの入ったチャイナドレスを手に取ればキラキラとした目でそれを着せられ(濃紺のチャイナドレスに髪は上のほうに二つお団子にされた)
これとかいいかなぁ、とか考えていると、どこからか持ってきたであろう黒いビキニを着せられたり(こんなもん室内で着るもんじゃねえよ…)
あとは…………うん……………………、

…問答無用!とばかりで遠慮がないように思えるが、丁度いいタイミングでちょいちょい俺好みの服を見繕って着せてくるあたり俺の顔が死ぬのを避けているんだと分かるが…………。

紅桜とアンリさんに目をつけられないようにしながら服を選んでいると、着物よりも懐かしい慣れ親しんだものが目に入った。

「………………懐かしいな」

思わずそれに手を触れた。
それは、剣道の稽古のときによく着た胴着と袴。
造りはかなり本格的で、素材も化学繊維でなく綿が使われている。きっと染めも化学染料でなく藍染なのだろう。

「あら?珍しいわね、その服。ルイちゃん着てみる?」

あまり長く手に取りすぎたのか、アンリさんがこちらをのぞき込んだ。
少しだけ口元に笑みを乗せて、俺は首を横に振った。
これは今更、着てみなくても似合うかどうか分かりきってる。
だから……

「いえ、これは戴きましょう」

剣道をやる機会は少ない。
やるとしても、素振りや型の確認程度。
剣道に関しての師がいない今、これを着る機会など無いに等しいが、志を忘れないようにこれを買ってもいいだろう。

「そう、じゃあお代はあとでまとめて頂くわね。あ、じゃあそれ繋がりで着物なんてどうかしら?ルイちゃん、着物似合うんじゃない?」

まあ、そりゃあいくら黒髪黒目じゃないといっても所詮は日本人顔だしな……。

アンリさんにそう言われ、着物(というよりも振袖だな)のほうを少し考え込むかのように見る紅桜。
黒髪黒目じゃないから、着られる着物の柄が限られてくるだろうから………、この目と同系色の深い青色が使われてるものがいいんじゃないかと思ったが、それに相反して紅桜が選んだのは、黒地に華やかな赤や白、ピンクの花々が咲き誇るもの。

赤は俺には似合わないんじゃないか?
と思いつつも、紅桜に渡されたピンク色の帯を締める。
着付けは茶道で経験したことがあるし、正月には毎年のように着ていたため当然のように出来たが、それがアンリさんには意外だったらしい。
控えめに、着れる?と聞いてきたのに対し、大丈夫です。と答えたら凄く驚かれた。
………人の着付けを手伝える時点で、アンリさんも結構凄いなぁ、と思う。だって、日本人でも着れない人が多いのに、それ以上に着る機会のないはずの外国人が手伝えるって………。
あれ?もしかして、アンリさん世界中の民族衣装の構造について詳しかったりするのか?だって、日本も民族衣装について知ってるくらいだし……。

「ん、よし……着れましたよ?」

久しぶりに着たため、着るのに時間がかかったが綺麗に着れたので問題はないだろう。
あとは、髪の毛をまとめるだけ……、流石に和服を着て髪の毛をまとめないと気持ちが悪い。

でも、着物って案外というか当たり前というか…すっごい動きづらいのだ。
ただでさえ髪の毛をまとめるのが苦手な俺に、今そんなことをやらせたら酷い惨状になってしまう。折角、綺麗な振袖なのに残念だ。
ひとまず着る前に頭の下のほうに簡単なお団子を作り、まとめていたのだがこれでは格好がつかない。

「髪の毛まとめてもらえます、か………?」

カーテンを引いて、首を傾げながら尋ねると固まったように動かない二人。

………やっぱり、赤は似合わないんじゃないか?
少しだけ眉が下がり、不安になった。

『…………アンリさん!』
「ええ!分かってるわ!」
「え……、っわ」

ようやく口を開いたのは紅桜で、一言アンリさんを呼べば何が何だかわからないまま手を引かれて、半ば無理やり座らされた。
………えーと、皺とか付けたくないからなるべく動かせないで欲しいんだけどなー…。

お団子の位置は、俺が一時的に結ったものと変わらずしかし綺麗にまとめられて、仕上げとばかりに真っ赤に輝く宝石が一枚ずつ花弁として輝いてる美しい花のかんざしを挿された。

……一体、この着物とかんざしで総額いくらくらいになるんだろうか…。
かんざしだけで、うん百万は軽くいきそうなんだけれども…。

そんなことを考えながらされるがままにしていたら、顔の付近をせわしなく動き回っていた手が動きをとめた。

おお、髪が…頭皮が突っ張ってるぞ……。

「っ……かっわいいわ!」
『流石ですマスター!』

なにが流石なのかよく分かんないんだが…。

とりあえず二人の流れに逆らわず、促されるまま鏡を見てみると髪と目の色を除けば見慣れた俺の着物姿が。
……ああ、でも成長した分、印象が違って見える………か?

まあ、自分で自分の姿を見てもこの二人ほどテンションが上がらない俺は数秒鏡を見るだけですぐに後ろを振り向いた。
すると……

パシャ

…………


「何をしていらっしゃるのでしょうか?」

一眼レフを持った紅桜とアンリさんの姿があった。

『マスターの姿を写真に収めています!』
「今までの姿も写真に撮っていたけどコレは自分の手で撮らなきゃでしょう!」
「今まで?!」

なんだそれ、いつの間に撮ってたし!
思わず周りを見渡しても何もない。
……服の影にでもカメラを設置してるのか?と思いながら、鏡をよく見ると何やら違和感が。
若干だけど……盗聴器とかそこらの気配と同じような……。

「あら!よく分かったわね、そのマジックミラーで裏にカメラがあるのよ」

やっぱりか!

というか試着室の中の鏡は大丈夫だろうな?!
慌ててそちらを向けば、くすくすと笑いながら大丈夫よと言ってくるアンリさん。
……まあ、あんだけ試着室の中にいて気づかないってのも流石にないよな…。
この鏡に気が付かなかったのは、あれだ。この着せ替えショーのせいで精神的に何かがおかしくなってたんだ、きっと。

頭に手をやるのは、せっかくセットした髪の毛が崩れるので息を吐いて俯くだけにしていると、また興奮したかのようにフラッシュがいくつも瞬いた。

……感傷にも浸れねえよ、これ。

その後、俺が数時間にわたりこの撮影大会に付き合わされたのは言うまでもない。



140302

ひとみさんから二周年フリリク企画で頂きました!
輝く紅桜さん素敵です。アンリさんも右に同じ。いろいろ着させられる瑠唯ちゃんも可愛くて……!

色々な服を着た瑠唯ちゃんはこちら。

これ、イラストも頂いて良かったんですかね。駄目だったら言ってください。
ひとみさん、ありがとうございました!


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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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