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※学パロ



ばたばたばたーっ、と曲がり角を曲がる。

遅刻だ、なんてことはない。パンもくわえてたりしない。

ただ、ある人を追いかけているだけであって。


『ちょ、紅覇ってば歩くの早い…!てか置いてくなって…!』


2年ほど前に付き合い始めた紅覇を追いかけているのである。つまり、彼氏なわけで。

現在高校3年。実は中学のころから一緒ではあったのだが、お互い異性としては見ていなくて。そんなこんなな出会いは割愛させていただこう。


『…あっ、紅覇ー!待ってよー!』

「なまえ、おそ〜い。寝坊するのが悪いよねぇ〜」

『目覚ましが壊れてたんだって!』

「ま、いいや〜。さっさと行こうよ〜?」


そう言ってまた歩き出してしまった紅覇の後を、慌てて着いていく。

ちらほらと同じ制服の人たちが見えてきて、学校も目前である。

今日はクラス替え。つまり新学期。

紅覇の髪と同じような色の桜も満開。春なう。

クラス発表の貼り出しがされている掲示板の前はたくさんの人だかりで。


「ね、なまえ、見てきてくれる〜?どうせ一緒のクラスだろうし〜」

『え、一緒に行こうよ?!』

「僕、わざわざ人混みの中に飛び込むような趣味は無いんだよね〜」

『えええ…しょうがないな』


なんて、許してしまう私は紅覇に甘いなぁ…。


『ちょーっと失礼しますよー…』


ぐいぐい、と人の間をすり抜けて掲示版に貼られた紙を見上げれば、なんてこったい、全然名前が見つかりません!

必死にきょろきょろしつつ探していると、くいくい、と制服の袖を引っ張られて。


「なまえちゃぁん」

『あ、紅玉ちゃん!』


ちょっと控えめがちな上目遣いで私を見ていたのは紅玉ちゃんで。あぁなんだ、美少女か。なんて心を落ち着け…あぁいや、紅玉ちゃんか。と安堵したんですよ?別にドキドキなんてしてないんだからねっ!


「同じクラスだったわぁ」


ふわふわ、と紅玉ちゃんが微笑めば、私の単純ハートはときめきを増すばかり。


『ほんと!?やった!何組?』

「3組よぉ。お兄様も一緒だったわぁ」

『わ、紅覇の言う通りだ』

「あとはぁ…ジュダルちゃんも」

『……あぁ…うん…』

「ジュダルちゃんと仲、悪かったかしらぁ?」

『ううん、…いや、なんでもない、うん!嬉しいような、嬉しくないような!』


実は紅覇とジュダルさんが絡んでいるのをみるとなんだかすごくイライラもやもやするのだが、いわゆるこれは嫉妬だろう。そんなこと紅玉ちゃんに言うなんてむりだ。この事は墓場まで持って行くつもりなのだから。

目の前の紅玉ちゃんがきょとん、としていて。何か考え込んだかと思えば、あ。と声をあげて、少しにやにやとし始めた。


「そういうことなのねぇ…。うふふ、なまえちゃんったら…うふふ」

『何を思いついたかはわからないけど何も聞かないでおくよ』

「いいのよぉ隠さなくたって!ジュダルちゃんにそっちの気はないし、お兄様にもないから安心して?」

『…紅玉ちゃん、わかってしまったのか…』

「ええ、バッチリと!大丈夫よぉ、誰にも言わないわ!」


ばちん、とウィンクを可愛く決めて、早くお兄様の所へ行ってきなさい?、と背中を押してくれた紅玉ちゃんに、手を少しだけ振って。そして少し小走りで紅覇の所へ向かった。



「なまえ、遅い」

『ごめん!やっぱり紅覇の言う通り一緒のクラスだったよ!』


紅玉ちゃんに教えてもらった情報を伝えると、なんだか紅覇は少し拗ねてて。え、そんなに遅かったかなぁ…


「紅玉と話しこみすぎ。早く帰ってきてよ?」


拗ねたように私に言う紅覇は、可愛くて、しょうがなくて。

あぁなんだ、紅覇も私と同じように


『紅覇、こっち向いて』
「…ん〜?」


嫉妬、してくれてたのか



頬に少しのリップ音を立てて吸いつけば、紅覇は目を少しだけ見開いて。


「…あは、なまえは大胆だね〜?」

『紅覇のせいでこうなった、と言わせてもらうね?』

「さすが、僕のなまえ〜」


ぎゅ、と抱きしめてくれました。





見せつけちゃって!


(あらぁ、なまえちゃんとお兄様ったら…ふふ!)

(公然の面前で恥ずかしくないんでしょうか…見てるこっちの方が恥ずかしいんですが)

(もう、恋にそういうことは関係ないのよ、白龍ちゃん)

(…そういうものですか)



130506

京子さまより一万打フリリク企画で頂きました。一万打おめでとうございます! 素敵な作品をありがとうございました。


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