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ある日の昼下がり。


いつものように紅覇と、紅覇の部屋で駄弁っていた私は、紅覇の口から驚愕の事実を聞くことになる。

「あ、そうだなまえ〜」

『どうしたの?』

「僕ね、迷宮攻略に行くことになったんだぁ」

まるで"ちょっとそこまで買い物に"みたいなノリで言われても困ります。
紅覇とは対照的に、私の口からは間の抜けた声しか出てこなかった。

「ジュダルくんに誘われたんだぁ」

『でも…迷宮なんて危ないよ…』

「大丈夫だよ〜、そのために鍛練もたくさんしたわけだし」

たしかに紅覇は毎日毎日、鍛練を怠ったりしなかった。怪我をする度に手当てをした。
小さい頃は、紅覇がそうやって怪我をする度に私が泣いて。

『でも、もし…』

紅覇が死んじゃったら。私の目の前からいなくなって、もう二度と会えなくなっちゃったら。
そんなの嫌だ、絶対に嫌だ

「僕は必ず戻ってくるよ、なまえのところに」

優しい笑みを浮かべて、紅覇が言ってくれる。

「……じゃあなまえ、約束ね〜?」

『…え?』

「僕が迷宮攻略して、戻ってきて──────」




「なまえ〜っ!」

ぎゅう、と紅覇が抱き締めてくれる。

あれから数年、紅覇は無事に迷宮攻略して帰ってきた。

『紅覇、お疲れさま』

「あは、ありがと〜。ね、なに考えてたの?」

『紅覇が迷宮攻略しに行くって言ってきた日のこと』

考え事をしていたこともお見通しのようで、何だか少し恥ずかしい。

「あぁ、そのことね〜。あの日なまえ、大泣きして大変だったよね〜?」

あの日とは違って、意地悪そうな笑みを浮かべる紅覇。

『紅覇が変なこと言うから』

「え〜?僕のせいにしないでくれる〜?」

『嬉し泣きと、悲しいのが混じったらああなるの!』

あの時紅覇は、一つの約束をしてくれた。
私は今でも鮮明に覚えてるけど、紅覇は覚えてくれてるかな

「そろそろかなぁ」

『何が?』

「あの日の約束のこと〜」

『…?!覚えて、たんだ』

「当たり前でしょ〜?…僕が迷宮攻略して帰ってきて」

───────大きくなったら、なまえを僕の妻にしてあげる!


記憶に残って、と願った

(あの日の願い事は)
(ちゃんと、紅覇が叶えてくれた)
(約束も、全部)



130401

星空飛行の京子さまより相互記念に頂きました! ありがとうございます。


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