Memo | ナノ


>>メリークリスマス(白目)

プロローグ的な何か。



もしも地球が滅びるのなら、それはそれでアリだと思う。人生三度目の私はそう考えるわけだけど、まあ普通の人は違うわけで。

(最初の世界と同じような世界だと思ったんだけど違ったわ。こんなモンスターいなかったし)

来年三月に地球を破壊するとか宣言してくれちゃったモンスターが何故か担任をしているクラスに、国に依頼されて潜入することになった殺し屋グレイシア、もとい三永刹香です、どうも。

いやさ、正直今世の私は前世と違ってフツーの人間(にしてはチートだとか気にしない)なわけで、つまり人外モンスターの殺しとか無理ゲーだと思うんだけどね? さすがに国からの依頼は断れないというか、権力に逆らっても良いことないし。ミッション失敗=地球滅亡、ってのはまあある意味気楽だよね、自分の評価が悪くなる前に死ぬわけだし。
というわけで、椚ヶ丘中学校3年E組に転入しますーっと。

「三永刹香です。日本の学校は初めてなので、いろいろよろしくお願いします」

猫はー……少しだけ被っておきますかね。


(こっから小ネタに移ります)

*Mission01

「三永さんってさー……」

授業中、である。話し掛けられるとは思わず怪訝な顔をした刹香に、業は頬杖を付いて問うてきた。

「なんでE組に転入したの? 見た感じ、勉強できるっしょ」
「知らない。理事長にここに入るよう言われたんだよね」
「……ふーん」

実際は防衛省に依頼されたのだが。

「赤羽クンは? 見た感じキミも余裕そうだけど?」
「俺? ……はは、言ってもいいけど引くよ?」
「へえ? 私めったなことじゃ引かないけど」
「暴力事件」
「オーケー納得」
「あれ、怖くない?」
「私喧嘩強いからね。キミには絶対負けない自信あるよ」
「……言うね」

すっと目を細めた業にニヤッと笑いかけ、刹香は黒板に視線を戻す。面白そうな奴がいるなと思いながら。


*Mission02 会話文

「(クラスの中の情報通はー……カルマ曰く渚っと)潮田クン、ちょっと」
「……三永さん?」
「赤羽クンに聞いたけど、殺せんせーについて詳しいって?」
「あー、うん。ちょっとね」
「そっか。教えてくれない、せんせーの弱み」
「……三永さん、聞いてもいい?」
「何を?」
「三永さんって、何者なの?」
「(うわ、ストレート。警戒されてるなあ……まあこんな時期の転入だし仕方ないか)ただの転校生、だよ」
「……そうだよね。ごめん、変なこと聞いたね。えーっと、殺せんせーの弱みだっけ」
「そう」

以下略。


*Mission03

ズシャッと鋭い音を立てて、ナイフが木の幹に突き刺さった。ナイフとはいえ、対せんせーナイフである。殺せんせー以外にはただの無害なゴム製ナイフの筈、が。
しん、とクラス中が静まり返る。現在は授業間の休み時間、クラスほぼ全員が殺せんせー暗殺に励んでいる真っ最中の出来事だった。

「あら、ハズれちゃったか。やっぱ速いなー」

生徒の中でただ一人、平然としていた刹香――ナイフを投げた張本人は、特にがっかりした様子もなくナイフを回収した。木の幹には穴が空いている。

静まり返った生徒たちは、薄々と予感していた。――この人間は、ただの中学生ではないと。

「お見事です、三永さん。さすが超天才と名高い殺し屋ですねぇ」
「…………おいこら」
「クラスメイトに秘密はいけません」

さらりと暴露した殺せんせーに、生徒たちは一瞬沈黙、そして。

『えええええええっ!?』

絶叫である。何人かは納得したように頷いていたが。

「三永さんって殺し屋だったんだね」

そしてその何人かの内の一人、渚が刹香を見上げるように聞く。

「……はーっ、なんでバラすのかねぇ」

溜め息一つで開き直った刹香はふいっと顔を上げて堂々と名乗りを上げた。

「改めまして。殺し屋グレイシアこと、三永刹香と申します。殺したい人間がいる方は、是非ご贔屓に」

この自己紹介にみんな内心『いないよっ』と思ったとか思わなかったとか。


*Mission04

「イェラビッチお姉様と呼びなさい」

自信に満ちた態度で言ってのけたイレーヌに業が「ビッチ姉さん」と呼びかけるものだから、隣で聞いていた刹香はぷっと吹き出した。

「略すな!」
「ふっ……さ、さすがに酷いんじゃない、赤羽く……っふふ」
「思いっ切り笑ってんじゃん」
「やば……ツボったわ、くくっ」

笑えば笑うだけイレーヌの怒りを煽るのだが、彼女に殺される気はしなかったので気にしないでおいた。


*Mission04おまけ

「潮田クン、」

半ば呆然とイレーヌを見送った生徒たち、そして腰砕けの渚。地面にへたりこんだままの渚に、平然とクスクス笑っていた刹香が手を差し延べた。

「あ、ありがと……」
「どーいたしまして。……そんなにヨかったの? センセイのキス」
「な……っ! え、えっと」

真っ赤になってあわあわしだす渚にまた吹き出して、「ごめんごめん」と笑いかけると、むっとむくれた顔をされた。


「……プロ、なんだね」

教室に向かう道すがら、ぼそりと呟いた渚に、何が? と返す。

「んー……あの人、プロなら殺せんせーを殺せるのかなって」
「いや、無理でしょ」

さらっと否定すると、渚は驚いたように見上げてきた。

「なんで?」
「イレーヌ・イェラビッチと言えば結構有名な殺し屋だけど……まあ、知名度も実力も私の方が上だし」
「えっ」

事実である。たとえイレーヌと先程の男三人が一斉に殺しにこようと、全員沈めるのに三分もいらないだろう。殺し屋業界に詳しくなさそうな殺せんせーが知っていた程の実力者だ。そして刹香は、グレイシアを名乗るからには(基本的には)妥協しない。

「……三永さんってすごいんだね」
「まあね。この業界に足踏み込んだのは十年前だし……あの人よりは先輩だかんね」
「じゅうねん!?」
「そんなベテラン、それも一流の私が殺せてないのに、舐めきってるあの人が殺せるわけない」

自信、自負、プライドは刹香にもある。それらを持つことはは大切だ。だが自信過剰と油断は禁物、その点イレーヌは微妙だ。実力は確かに自信に見合う、しかし相手が悪い。人外モンスターを相手にしている自覚が足りない。

「僕にはわかんない世界だな……」
「あはは」


*Mission05

イレーヌの無神経で傲慢な発言に軽く学級崩壊中の3年E組。罵声が飛び交う中、ひとり巨乳に対する文句を叫ぶカエデの言葉を聞いて、刹香は業に言った。

「茅野チャンが私に若干敵対心持ってるのって巨乳が原因?」
「俺に聞かれても」

と言いつつ刹香の胸に目を遣る業は「まあ巨乳だね」と呟いた。

「金髪碧眼巨乳ってキャラもろ被りだなぁ、って実は思ってた」
「実はビッチ方向にもキャラ被ってんじゃね?」
「純潔の乙女に失礼極まりないなぁ」

へらっ、と笑ってみせたと同時、チャイムが鳴ってイレーヌは逃げるように教室を出ていった。



ここまで! 書きたいシーン殴り書きでした。ビッチ先生まさか10年前から殺し屋ってことはないと思うけど(原作読み返してないから曖昧だけど10歳未満の力で人殺せるの?って思った)違ったらごめんね!

2015/12/25 17:19

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