>>黒バスホラー……だったはずなのに［黒バス］

※デフォルト名↓
(夢主１)：水城澪
(夢主２)：愛澤姫乃
※途中まで姫乃が空気
※高尾視点



気が付いたら、よく知らない、まあでも見た感じ廃校？　みたいな教室にいた。ちなみに、隣には愛澤先輩、目の前には水城さんがいる。

……いやいやいや可笑しいだろ！？
俺はさっきまで普通に部活やって、普通にチャリヤカー漕いで……いやこれは普通じゃないけど俺にとっては普通ってことで。
つまりさっきまで一緒にいたのは真ちゃんで、信号待ちでじゃんけんにまた負けたところで、つまり道路にいるはずで。

つまり？

「高尾、混乱するのも解るけど落ち着こうか。状況整理しないと」
「逆に水城さん落ち着き過ぎですって！　なんで！？　年の功！？」
「二つしか変わらないのにそういうこと言わないの」

年取ってるみたいで傷付くでしょ。
なーんて、そんなことこれっぽっちも思ってないくせに。

でもまあ、いつもと変わらないテンションの水城さんはまあ、頼もしい。隣にいる愛澤先輩は先程から一言も喋らない上、ひたすら俯いてて、髪の毛の陰に隠れて表情すらわからないから、尚更。まー愛澤先輩ってこーゆーの苦手そうだし。如何にも女の子！　な人だから。

「んー、でもま、大して聞くことも思い付かないけどね。高尾、あんた何してた？」
「えー……っと、真ちゃんと帰宅途中で、」
「あらら、緑間も可哀相に」
「へ？」
「状況的に、突然高尾の意識すっぽ抜けたんだから、驚くだろうな、ってこと」
「あーなるほ……え？」

意識がすっぽ抜ける？　何のこっちゃ、っていうか何がどうしてそうなった。

疑問が顔に出ていたらしい。苦笑いと共に水城さんが、ほら見て、と自らの脚を突いた。
わぁ細い。……じゃねぇよ。

「……あ！」
「気付いた？　怪我してないの。全然痛くないし……まだ完治してないはずなんだけどね」

水城さんの脚は、文字通り傷一つ無かった。少なくともソックス下げて見せてくれたとこは。ついでに言うと、顔にも何も付けていない。
それは現実世界との、決定的な違いだった。

水城さんはついこの間、交通事故に遭った。部活帰り、一人で帰宅している時だったらしい。状況は詳しく知らないけど。
そんで、大怪我を負った。右足を複雑骨折。肋骨数本骨折及びヒビ。左目付近の骨を骨折。
病院に運ばれ、即緊急手術だったらしい。想像しただけで相当痛い。

その怪我はまだ完治しておらず、特に重傷だった右足は固定されていたし、左目にも白い医療用の眼帯を付けていた。

が、それがないのに支障がない、ということは。

「現実世界じゃ、ない……？」
「多分ね。精神体とか、そんな感じだと思う」
「それってやばくないすか」
「かもねぇ」

精神体ってことは、肉体の方は真ちゃんのとこにあるってことだ。良かった、取り敢えずこの寒い季節に外に放置されてはないみたいだ。
まあ、だからって精神体はまずい気がするけど。説明は出来ないけど、そんな気が。

「そういや水城さんと愛澤先輩は？」

そういえば言うだけ言って聞いてなかった。

「二人で帰宅途中」
「うわ、身体凍えてそう」
「多分妹がそろそろあの道通るから何とかしてくれると思うんだけど……私は」
「……愛澤先輩は？」
「面識はあるから大丈夫だと信じたいけど、あの子姫ちゃん苦手だから」

それは愛澤先輩の前で言って良かったのか。
まー先輩も、豆腐メンタルに見えて実のところ結構メンタル強いし、大丈夫なんだろう。多分。

「まあつまり、ここには精神だけが来ていて、下手すると身体に戻れない。ってことか」
「もー、勘弁してくださいよー」
「じゃ、行きますか」
「ちょっ、何処に！？」

一人で何を納得したのか、水城さんはさっさと座り込んでいた床から立ち上がり、閉め切られたドアに向かって一歩踏み出した。慌てて問い質す俺に、「動かなきゃ始まらないでしょ。姫ちゃんと高尾は待機」と言う水城さん。……この人肝据わってるよなぁ。

「いやいや女の子に行かせられないでしょ。水城さんこそ愛澤先輩と……」
「むしろ女子二人固まるのもアレだと思うんだけど」
「ちょ……っと待って！」
「おわっ。姫ちゃんどうした」

俺と水城さんの行く行かない争いの真っ只中に飛び込んできたのは、まあ状況的に一人しかいないけど愛澤先輩。ここへ来て初めての発言に、腕を掴まれた水城さんが首を傾げる。

「私が行く！」
「え……」
「てゆーかむしろ皆で行こう！　固まって行動しよう。先頭は私に任せて！」
「……え」

キラッキラと瞳を輝かせる愛澤先輩に、水城さんと二人して、絶句。
誰だコレ……てか超楽しそう。

「私こーゆーホラー的なやつ超好きなの。まさか自分で体験出来るなんてーっ！　さっきまで実感無かったけど、こうなるならとことん楽しんでやるわ！」



140309

何だコレ。高尾ニセモノごめんなさい。

2014/03/09 11:43

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