Memo | ナノ


>>ユキと夢主[ロラン]

※時系列とか矛盾とか気にしたら負けですよ…



スカイシップの中に与えられた自室で、リーシャがぼけーっと横になっていた時のことである。開け放したままのドアから誰かが入って来たのを感じ、リーシャは上体を起こした。
部屋を見回すが、誰もいない。ように見える。

「……ユキちゃん?」

最初から薄々解っていた名前を呼ぶと、一瞬間をおいて、ドアが閉まった。そして声がする。

「はい、ボクです」
「珍しい、ですね。ユキちゃんが自分から来てくれるなんて……」

すぅ、とユキの姿が不意に現れて、ちょこんとベッドに座った。リーシャの言葉に、もじもじと何かを言おうと迷っては口を閉ざす仕草を繰り返している。

「……ユキちゃん?」
「あの、あの……リーシャさんにこんなこと聞くのは間違ってると思うんです。でもボク、どうしても知りたくて……だから、あの、」

久々にユキが長文を話すところを見たリーシャは、驚きつつ納得もしていた。あのユキが分身体とは言えリーシャに姿を見せたのだ。何の用かは解るというもの。

「父様のこと、ですか」

魔王・ローランヴェルグ。旧時代の覇者。ユキが唯一本体で姿を見せる相手であり、現在はロランに転生している、リーシャの父親。

「はいっ。……魔王様はボクのこと、どう思っていたんでしょう……」
「……私から聞き出すのはズルというものでは……?」
「うぅ、やっぱりそうですかぁ?」

うるうると潤んだ瞳で見上げて来るユキは、どう見ても女の子である。実際リーシャはユキを女の子の友達として見ているのだ。

「聞かなくても解っているでしょう?」
「…………」
「父様は、あなたを信頼していましたよ。そうでなければアポストル・ファイブにはなれませんもの」
「そういうことだけじゃなくてですね、」
「もちろん、好いていましたとも。ロラン様はどうか知りませんが、父様はあなたを変な目で見たことはないはずです」

ぱあっとユキの顔が輝いた。自分では安心しきれずもやもやとしていたものが、リーシャの言葉で解消されたらしい。

「ありがとうございますっ。あ、ボクばかり聞くのも申し訳ないので、ニケさんの話を……」
「ユキちゃんっ!?」

無邪気な表情と声音で落とされたのは、リーシャにとって盛大な爆弾だった。ニケの名を聞いた途端、リーシャは珍しく大きな声を上げてユキを遮った。

「大丈夫だからっ、ニケさんの話しなくて良いっ!」

友達とは言え相手はアポストル・ファイブの一人、そう思い使っていた敬語がどこかへ飛んで行った。

「え、でも……ニケさん、リーシャさんのこと好きみたいですよ?」
「きゃーっ! お願いユキちゃん何も言わないで!!」

嫌われているかの不安ではないのだ。好かれているのは知っている。
が、だからこそニケが自分をどう思っているかを考えると頭が沸騰しそうな想いなのだ。



131018

付き合ってる訳じゃないけど魔族公認。みたいな。
ユキちゃんマジ可愛い。

2013/10/18 22:47

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