18 きたるその日






「さてもうすぐ学園祭な訳ですが!」



また先日から何日かたった頃、三人は昼ごはんを食べながら千鶴がそんな話を切り出した。箸を右手に持ったまま興味がなさそうに紗雪はお弁当を食べながらそれに適当に返事を返す。


「2組は何すんの」
「謙也くんがとびきり輝けるものをご用意しました」
「なに、早食いでもすんの?」
「違います、うちのクラスがやるのはね!」


執事喫茶です!
と何故か得意げに言う千鶴に一瞬の沈黙を送り、由依は「へぇ!」と楽しそうに返し、紗雪は「ふーん…」と一歩引いた姿勢でそれに返した。執事喫茶をするのは良いが予算とて限られているなかで一体服の調達やらどうするというのか。しかも女の子はどうするのだ。紗雪は色々思ったが、面倒になってそれを口にすることはなかった。


「謙也くんと白石くんで客寄せするのさぁ!」
「つかそれで案通ったの?」
「クラスは満場一致で可決、学校も平気そう」
「さすが2組だね!」
「えっなぁに由依ちゃんそれ誉め言葉?ありがとありがと!」
「違うっしょ」


相変わらずの千鶴に紗雪は軽く呆れたが逆に安心さえした。それを見て笑う由依が居るのはこの能天気な千鶴の力も大きい。

この間の一件、あの後紗雪は由依を家まで送っていった。どこか寄り道する気分でもないだろうと気をきかせた行いだった。由依の自宅まで行くと彼女の母親に遭遇し寄っていけと言われ、そのままお邪魔して由依の部屋でだらだらと二人で語り始めた。由依は財前が好きなのだということ、あの時財前は好きな人が居ると言って告白を断っていたこと、また紗雪はいつから由依の想いに気付いていたのかと問いただされそれに答え(まぁちょっと前くらいかな多分という曖昧な回答に終わった)、結果由依は紗雪に応援されながら頑張ると何とか意思を固め始めたりした。
それでもやはり財前のあの一言を引きずっていたのだが千鶴や紗雪と過ごすことによって今まで通りに笑うことが出来ている。変に二人が気をつかったりするときっとまた微妙な想いが蘇ってしまうだろうから、恐らくこれで良いのだろう。


「1組は何すんの?」
「甘味喫茶。和菓子のみ扱い」
「なんか普通だね!」
「こーゆーのが一番売り上げ良かったりするんだよ、年齢層関係ないし。それにこれはクラスをあげてあたしが」
「そうだねークラスをあげて頑張ろうねー!」
「由依ちゃんどしたの急に」


少し大げさに紗雪の声を遮って声をあげた由依に千鶴は首を傾げたが、何でもないことを伝えるとすぐにお弁当に意識を戻した。恨めしそうに自分をじとりと見る由依に紗雪は意地悪く笑ってから、楽しそうに呟いた。


「まぁ卒業前最後のイベントだし、楽しも」
「うん!」
「おー!」




(期待膨らむ!)






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