志摩さん家の日常
最近、八百造はんが機嫌が悪い。
当たり散らすみたいな、イライラはそんな無いんやけど、時たま寂しそうにしとったり、ムスっとしとったりと気分の起伏が激しい。
そんな八百造はんを見て柔造が私に、”○○が言っとったけど、お父反抗期なんやて?”と聞いてきたんやけど……
私はただ、娘である○○に構って貰えんから、拗ねとるだけやと思うんやけどね。
「お父!りんご剥いたから食べへんか?」
「おん。これは……○○が剥いたんか?」
「そやけど…どないしたん?」
ある日の夕飯後、夕飯の片付けしてる時に、そういえばと思い出して”りんご貰たから皆に剥いてあげてな”て私が○○に頼み事をした。
○○は渋々とりんごの皮を剥いて、食べやすい様に切り、皿に並べて串も刺していた。
「○○、お父はんにも持ってってあげてな?」
「はいはい」
と、○○がりんごを八百造はんに手渡しに行ったんやけど、なんや八百造はんは黙り込んでしもて……
「そうか……ありがとうな」
と、○○が持っとったりんごを一つ口にすると、八百造はんは感動したのか、目頭を抑えて涙目になっとって……
「ちょ!お父!?」
「○○がなぁっ……」
それは、ほんまに私も驚いてしもたんやけど……
確かに○○は、どっちかてと柔造や金造達と手合わせしたり、男の子っぽく育ってしもたから、家事なんてお手伝いしてこんかったからなぁ。
(ちょ、柔兄っ!!なんやねんアレ!)
(そら、○○が女の子らしゅう事したから感動したんやないか?)
(そな、りんご剥いたくらいやで!?)
八百造さんに聞こえん様に話す、子供達の会話にクスクスて私は笑てしまう。
前から八百造はんはそやったんやけど、○○が出かけた時は必ず”自分が迎えに行く”言わはったり。
遅くなったりすると、いつも早く寝るんに寝ずに起きて待っとったり……ケータイに連絡を馬目に入れたりしてなぁ………
それはもう○○を大層可愛いがっとって。そんなデレッとしてるわけやないんやけど、娘の溺愛ぶりに皆呆れとる所もあった。
ある日、○○がなんやムスっとしながら話しかけてきた。
「お母…最近お父が反抗期なんやけど」
「どないして?」
「あからさまに、ウチにだけ冷たいねん!こないだのホワイトデーも、ウチにだけくれへんのやで!おかしいやろ!」
そないな事を○○は言うて来たんやった。
((あらあら、八百造はんそないな可愛いらしい事してはったんか……))
私はクスクスと○○に笑て話す。
「まぁ確かに最近機嫌悪かったわなぁ。そら、○○が悪いわ」
「なして!ウチ何もしとらんよ!」
「お父はんの度が過ぎたんかもしれへんけど、○○が構てあげへんかったからやろ?」
”構てって…”○○はぶすっとしとって納得がいかんようやった。
「やて、しつこくてウザ」
「こら!お父はんにそないな事いうたらあきまへんよ!大事な娘が心配やったからなんやからね!」
まぁ確かに、少々過保護過ぎやったとは思うけれど……
やり過ぎて、そんで娘に避けられてしもて、八百造はんは拗ねとるだけなんやろなぁ。
「迎え来てもろたりして、いつもありがとう言うとったんか?」
「……言うてへん……避けてしもてた」
「そらお父はんも傷付くわ。○○がお父はんが冷たい、言うてるけど、○○かて同じ態度とったんやで?」
「ほんまや……」
○○は私の言葉に、何か考えた様やった。”謝ってきたらええ”と私が言うてやるとコクンと頷いて”お母、ありがとう”とパタパタと行ってしもた。
さて、と……私は
「八百造はん、いらっしゃりますやろ?盗み聞きは良くないですえ?」
ガタッと物音がしとったので、居るんやろなと思てたら戸の陰から八百造はんが顔を出した。
「八百造はんも大人気ないやないですか」
「……そないな事はしとらん」
「拗ねてしもて、ほんま可愛いらしゅうお人やね」
クスクスと笑ろて言うと、表情は変わらんもんの、八百造はんは私の”可愛いらしゅう”て言葉に少し照れとったようやった。
「私は何も言うてきまへんでしたけど、可愛い娘やからて、あんま縛り付けるんも良くない思います」
「そやけど……○○はまだ学生で」
「のびのびさせてあげんと、○○かて息が詰まってしまうわ……八百造はんにますます冷たくなってしまうかもしれへんよ?」
私が八百造はんに言うた”○○に冷たく”の一言が随分効いたらしく、黙ってしもた。
「せやからね?」
「おん………わかった」
八百造はんも、○○同様に少し考えた様やった。
「私達の子供達は日々立派に成長しとります。嬉しい事やと思いまへんか?子供達の成長をこうやって見れるのは」
「そやな……」
「私は八百造はんの妻になれて、こんな素敵な家族も持てて、ほんま私は幸せです」
ニコッと笑顔で八百造はんに言う。
私はが八百造はんに言った事は、心から思う事やった。
辛い悲しゅう事もあったんやけれど、それを乗り越えて、家族皆が笑ろて幸せに暮らせる……
そんな嬉しい事はないと思うんや。
「おん……俺もや…ほんま幸せな事やな」
バタバタと足音が聴こえてきた思たら、○○が戻ってきた。
今まで八百造はんを探しとったみたいやね。
「お父!こんな所にいた!あんなっ!」
ほんま、賑やかな家族なんやけど、志摩家はいつもこんなんです。
。。
志摩家の日常の1コマ。
親バカで娘大好きな八百造さんが書きたかったんです。
でも奥さんも大好きな八百造さんが書きたかったんです。
結果、こうなりました(笑)
名前変換は娘ちゃんだけですみません・・・・・・
家族大事な八百造さんがよい!
志摩家は賑やかで笑顔のたえない家であってほしい!!
娘ちゃんのイメージは、次女で廉造の上がいいなぁ、高校2年生くらい。
奥様もいいけど、志摩家娘設定もいいですね!
こういう日常的なのを考えるのが凄く楽しかったです!!
兄弟との絡みもきっと楽しいんだろうなぁ^^
12/03/18
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