不法侵入は止めましょう*






「にゃぁ〜〜」

「う゛〜〜〜ん………」

「にゃあ!」

「う゛ぐっ……」



布団で気持ち良く寝ていた私は、体の上に何か重いモノが乗って来たのが苦しくて、うなされていたら、顔をビシっと叩かれて起こされた。



「むにゃ……うぅ…おはよう…ナイト…くらったよ…ねこぱんち……」



私は寝ぼけ眼で、目の前にいる猫に話しかける。

”ナイト”と呼ぶ猫は、私が小さな頃から一緒にいる黒猫だ。

休日だからと、朝ゆっくり寝ていたのだが、”にゃあ”とぺしぺしと頬を叩かれ”寝てるな”と起こされてしまう。



「はい…起きます、起きます……」



少し怠い身体を起こすと、私の上に乗っていたナイトがチリンと首に付いてる鈴を鳴らして私の上から降りる。


一度身体を思い切り伸ばしてから、布団から出た私は、冷蔵庫から出した牛乳を器に注ぎ、ナイトにあげる。

美味しそうに飲む姿を見て、頭を軽く撫でる。



「さて、私も朝食べてからお出かけしますか!」



今日の朝は軽めの洋食にしようと、キッチンへ向かう。




食べてから、今日は祓摩屋のしえみちゃんの所へ鍵を返しに行く予定なのだ。

必ず返しに行くから!と”指きり”をして約束までしてきたのだ、返しに行かなきゃいけない。



「そうだ、何か御礼を持って行く事にしようかな!」





*********





「寄り道してたら遅くなっちゃった……しえみちゃん喜んでくれるといいんだけど……」



カチャっと鍵を差し込み、ドアを開けると前と同じ広い景色が広がる。



「……やっぱり、この高さは馴れないかも……」



高すぎる景色で眺めはいいのだが、下を見るのが怖く端に寄ることが出来なかった。

高所恐怖症ではないけれど、何も無いと怖いと思う。


また私は早歩きで石畳の通路を通るのだが、吹く風に履いてきたスカートが煽られて、少し後悔した。


((ここ来る時はスカート禁止だな……))


押さえながらは歩きづらくて仕方が無かった。

祓摩屋という看板が近付いて来て、私はしえみちゃんが手入れをしていた綺麗な庭を思い出す。


((今日、ゆっくりしえみちゃんにお庭見せて貰おうかな))


お店の方へ行く階段を上ろうと思ったのだが、そちらに進む前に、前回と違う事に気がついた。



「あれ?鉄の門が開いてる?というか、壊れてるよね…何かあったのかな?」



前回来た時は、キチッと鍵がかかり閉まっていた扉が開いて、外れた扉が側に立てかけてあった。


それに庭の方が何だか騒がしかったのもあり、私はお店ではなく庭へと続く階段を上る事にした。




「すみません、こんにちは〜……」



鉄の門の所から、庭の方へ声をかける。

一度来てはいたのだが、ヒトサマのお庭に勝手に上がり込むのは、何だか緊張してしまい、そ〜っと静かに声をかけて庭を覗き込む。

前回は慌てていたからそんな事は思わなかったのだが。



((不法侵入で通報とか怖いしね!))



と、奥の方から騒がしい音と”雪男ォッ”という声が聞こえる。



「今の声って……」



”雪男”という名前は私が知る限りで、奥村雪男くんの奥村先生で、彼を呼び捨てにするのも、双子の兄の奥村燐くんだった。



「本当何かあったのかも!失礼します!」



と、私は急いで中に入り込み、庭の奥へと走った。




そこで、私はある出来事を目撃するのだった。














。。








猫の名前は”夜”と書いて《ナイト》と呼ばせたいのだが…

一緒になるから、ダメだろなぁ…



12/04/24






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