騒がしい食卓*







『雪男!今日も仕事終わったら、真っ直ぐ旧男子寮食堂集合ね!!』



今日も祓摩師の雑務を熟していたら、○○さんから電話がかかってきた。


((この台詞…この状況、デジャヴュか……!?前も聞いた気がする……))


僕は”今日は何があるんですか?”と聞くと電話先の○○さんが”雪男も学んだねぇ”と何だかニヤリとする姿が目に浮かんだ。


きっとまた良からぬ事を考えているのだろう……と思いながら、僕は○○さんに”わかりました”と、言い、早く終わらせて帰れる様にと作業を急ぐのだった。





男子寮に着き、食堂の方へ足を運ぶにつれ、賑やかな声が聞こえ、やはりな……と思った。

ただ、前回のブラックデーと違う、廊下に充満する香りに、今日の料理はアレだ……と思ったのだ。



ドアを開け、食堂に入る。



「ただいま………!!?


「おぅ!雪男〜早かったなっ!」

「雪男お帰り!フフフ今日は何でしょう〜〜」



食堂には兄さんと○○さんの他にまた、”お邪魔してます”と塾メンバーが勢揃いしていたのも同じだったが、今回は人数が増えて、神木さんと朴さんも居た。


前回は、食堂に入るなり、僕の目に飛び込んできたのは”真っ黒な色”だったが……

今回は皆、普通に制服だったので、”また何か凄い事をしているのだろうと”と、心してドアを開けた為に、僕は呆気に取られたのだった。


まぁ………一部を除いて。



「今日は、カレーの日だ!!」

「ブーーッ!残念でした!でも惜しいっ!」



食堂に入る前から漂っていたカレーの香りと、テーブルに並ぶカレーを見ながらそう言ったのだが、どうやらカレーの日ではなかったらしい。


○○さんは、ちょいちょいと、志摩くんを呼び出し、自分の隣に並ばせ、”自分達を見ろ”とばかりに交互に指差す。



その前に、いつもと違う一部に触れる。

この二人だけ、他の塾メンバーと違って色が変だった。



「もしかして、またその色に関係あるわけ?」

「お、いいせんいっとるで若先生!」



楽しそうな○○さんと、志摩くんだったが、奥に座る神木さんが、



「ねぇ、あたしと朴は誘われてカレー食べに来ただけなんだけど、何かあるわけ?」



ムスっとしながら、一刻も早く食べて帰りたいオーラを放つ。

それを聞いた志摩くんが、慌てて僕を席に座らせる。



「さささ、若先生も座って早う食べましょ、ネ!」

「僕を待たずに、先に食べてたら良かったんじゃないのか?」



という僕の問いに、



「「雪男も一緒だからいいんじゃない!(じゃねーか!!)」」



と、○○さんと兄さんの声が重なる。



「当たり前でしょ!雪男が居なきゃ始まらないんだから!!」

「一人で食うとか兄ちゃん許さねぇかんな!!」



お互いに重なった声にびっくりした様だったが、二人ともそう続けた。



「ハハハ!奥村の”兄ちゃん”発言やて、なんや笑ってまうな。奥村先生のがよっぽど兄貴らしいちゅうにな」

「勝呂何だとテメー!俺の作ったカレー食うな!禁止!」

「ホントの事言うたまでやろがぁ!」



アハハハと皆が笑い合う声に、○○さんが”はいっ!”と



「じゃぁ雪男も揃った事ですし、燐またカレー作ってくれてありがとう!皆でいただきます!」



”いただきます!”と皆で声を揃えて食べだす。


僕も、少し綻んだ顔を隠す様に、カレーを食べた。

兄さんが作る料理はいつ食べても美味しいと思う。

今回参加している朴さんも、神木さんに”カレー美味しいね、出雲ちゃん”と笑って言っているのが聞こえて、神木さんも満更でも無い様な顔をしていて、流石兄さんの料理だなと思ってしまう。



さて、いつツッコミを入れようかと思っていた矢先に、三輪くんが言い出してくれた。



「志摩さんと、○○さんこうして見ると双子みたいやね」

「え〜〜〜廉造と双子……私ヤダーーー!

「そんな!○○ちゃん酷いわ!俺だけ○○ちゃんの意見にノったってのにッ!」



「で、○○さん………結局、今日は何の日なんですか?」



そんな僕の問いに、○○さんは、忘れてた……とばかりに眼をパチパチとさせて、



「雪男、私と廉造の色を見て!」

「金……、いや……黄色ですか。前回は黒でブラックデーで、今回は黄色で………イエローデーとかじゃないでしょうね………」


「大正解っ!今日5月14日はイエローデーだよ!」

「イエローデー!?……また訳の解らない……今回も、違う国の恋人達の記念日ですか……」



前回は全員、喪服の様な、真っ黒な服を身に包み、黒い料理を食べた。



「ですと、今回は黄色い服を身に包み、黄色い料理を食べるんですね」

「それがな雪男。今回はカレーライスだけらしいぞ。黒い料理は大変だったけど、今回はカレーだけだったから作るの随分楽だったな!」

「私、カレーは作れないから、今回は燐の見てたの!燐て料理上手なんだね」



しえみさんにキラキラと尊敬の眼差しで見られて、”ま、まーな!”と自慢げに話す兄さんに少しイラっとするが、しえみさんには申し訳無いが、前回同様に、しえみさんの作った薬草スープは、出て来なくて良かったと本気で思った。



「そう!そんな感じ!んで、ブラックデーまでに恋人ができなかった人が、この日に黄色い服を着てカレーライスを食べないと、独身を逃れられないんだって!


おぉー恐っ!」」


声を揃える○○さんと、志摩くんで、”ほんま恐ろしいわぁ”とブルブルと震える。

その話を聞いていて僕は”一つ良いですか”とまた質問を投げた。



「二人のその髪は、いつ染めたのかな?」



先程、”双子みたいや”と言った三輪くんだったが、○○さんと志摩くん二人だけ

黄色い服に身を包み、髪を金髪にしていた。


二人とも塾ではいつも通りの、黒とピンクの髪だったのだが。



「まだ僕らは学生じゃないですか……独身を逃れられないとか、大袈裟ですよ」

「何言ってるの雪男っ!!」

「そうやで若先生っ!!」



バタン!と机を叩きながら勢い良く立ち上がる○○さんと、志摩くん。



「あぁ、何だか前回もありましたねこういう事……」

「例え今はまだ結婚とか早いかもしれないけど、独身はイヤっ!!

「そうやで!可愛らしいお嫁はんもろてイチャコラしたいて、男のロマンやないですか!!独身はイヤやっ!!



熱弁を奮う二人に、神木さんのアホくさとズバっとした言葉に二人は固まる。


冷めた表情の神木さんと、僕の他には勝呂くんと三輪くんも”またかよ”、と飽きれ顔で二人を見ていた。



「おぅ。志摩やなくてアホの金造、まぁ大人しく座れや……」

「あぁ!ホンマですね。○○さんと双子よりも……金髪やと、金造さんの方が志摩さんはそっくりですね」



聞き慣れない名前に二人に聞けば、志摩くんの兄で金髪の髪で”金造さん”と言う方がいて、今の志摩くんは髪を金髪にしている為に、そっくりなのだそうだ。


二人は大人しく座るのだが、



「うぅ……酷いよ出雲ちゃん…」

「金兄と同じアホて言われるて……酷いわ」



二人とも、金色の髪にグッと力を入れるとズルっと取れる。



ズラですかっ!!



思わず僕はツッコミを入れてしまった。

中の髪は二人とも普通の黒とピンクだった。


フサフサとした金色の毛が机の上に置かれる様は異様だった。



「坊はさ、何やかんや言うてもブラックデーもイエローデーも参加しとるや無いですか…黒髪金メッシュでさ………」

「はぁっ!?何言うとるんやお前は」

「俺かて、金兄言われる思っとったけど今回こそは、て意気込んできたんやで……きっとモテるお人には俺の気持ちあて、わからへんのや……」



うなだれる志摩くんと○○さん。

○○さんも、低く落ち込んだ声で言う。



「出雲ちゃんもさ……何だかんだ言ってさ、イエローデー満喫してるじゃん……実は今日の髪ゴム黄色だったり、可愛い黄色い下着だったりしてさ……私だって楽しみたかっただけなのにさっ……」

「ちょっ!!アンタ何こんな所で言ってるのっ!セクハラで訴えるわよっ!」



真っ赤になって大声をだす神木さんに、ブーーーー!っと噴き出す志摩くん。

落ち込んでいたとは思えない様な、驚くくらいの良い反応だった。



「な、なんやて○○ちゃんそれホンマ!!」

「あぁうん。ほんまほんま。今日の実技の着替えの時にチラ見した。黄色でピンクの花柄

キヤァァァァ!!言うなぁぁ!!



必死に○○さんを止めようとする神木さんだが、時既に遅し………


「あぁ!えぇ事あったわ!イエローデーさまさまだわぁ!!(チラっ)」

「〜〜っ!!こっち見るなヘンタイっ!!………”稲荷の神に恐み恐み白すっ……”

「「げっ……本気だっ」」



プチっとキレた音がしたと思ったら、神木さんは白狐を二体出して



逝けっ!!

ぎゃぁぁぁあぁぁ!!



ブチ切れた神木さんに仕返しされる二人(得に志摩くん)を見て、アハハハと笑いながら、皆で賑やかにカレーを食べて過ごす。




ご馳走様と食べ終わり。片付けを始めるのだが、神木さんに怒られた二人だけは”きっちり反省しないさい”と床に正座をさせられていた。



僕は○○さんに声をかける。



「ブラックデーからイエローデーですけど、いい出会いはあったんですか?」

「雪男…今の私に聞いちゃうの…それ……」

「えぇ、御利益があったなら僕も考えようかと」



ニコりと笑って言うと。○○さんは”また馬鹿にして”と言う。

ふぅ、とため息をつくが、笑顔で



「……私は別に、御利益とか出会いなんて、今じゃなくてもいいんだよね。皆で賑やかにご飯を食べれるのがいいんだから……だって楽しいでしょ!」



”楽しい”と口に出す○○さんに僕も”そうですね”と笑う。



「雪男、皆で一緒の思い出つくろうね!」

「そうですね次も楽しみにしてますよ。ではこのまま頑張って下さいね

「この鬼っ!!腹黒ホクロメガネ!」



”…………”何か聞こえた暴言に僕は神木さんに一つ提案をした。




「神木さん。○○さんはまだ反省が足りないみたいですから、囀石(バリヨン)追加で!


ゴメンなさいいいっ!!










。。




5月14日
「イエローデー」

祓摩塾メンバーでイエローデー!

ブラックデーに引き続き凄い楽しかったww

賑やかな食卓ではなくて、騒がしい食卓w


出雲ちゃん出してみたけど、人数増えると難しいなとおもった。

けど、楽しく賑やかにしたかったから満足!


雪男の「囀石(バリヨン)追加で!」のセリフが何気にお気に入りww



14日は黄色い服着て、カレーパーティーをしましょう!(笑)

カレーの話を書いていたら、カレーが食べたくなって・・・・・・食べに行ったよねw

近所にあるカレー屋にww



実は、5月14日はもう一つ記念日があるんですよ!

2つある月もあるんだねぇ〜〜!

そっちの方が恋人の記念日らしいかなww




12/05/09




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