お互いさま
「坊、最近なんや難かしぃ顔してはりますが、どうかしはったんですか?」
ある日、よほど俺の様子が変だったのか、志摩に声をかけられる。
そう・・・・・・俺は、2月のバレンタイン以降・・・悩んでいる事があったのだ・・・・・・
バレンタインの時、俺は幼なじみである○○に告白された。
○○から告白された時は、返事なんて考えられないくらい驚いて、嬉しくて、照れ臭くて……
……まぁ、避けられていたから本当に怒りもあったのだけれど。
そんな複雑な心境だったから、俺は○○に返事をしたわけではなかった。
そして今・・・・・・俺が悩んでいる事というのは、○○に返事を言うかどうかだった。
何故かというと、俺が東京へ行くと決まっているからだ。
○○に、”俺もずっと好きやった”、て言ったとして…俺は側に居られるわけではない。
いつ会えるかもわからんくなる。
それなのに○○に言ってもいいのだろうか……
寂しい思いをさせるくらいなら、断って新しく好きな人を作ってもらった方が○○の為なのではないか…
でも、○○の隣に知らないヤツはいてほしくない
そぅ、ぐるぐると頭が変になりそうなくらい考えていた。
自分で言うのも何だが、このての話しは苦手というか、経験が浅いというか…・・・
とにかく、俺はぐるぐると考え過ぎてわけがわからなくなっていた。
そんな俺と違い、志摩は得意分野だろうと…相談してみる事にした。
そしたら・・・・・・笑われた。
「人が真剣に悩んどるのになんや!!」
「坊堪忍です!い、いやぁ〜見かけによらず可愛いらしい人やなぁ思てしもて!」
”かっ、可愛いらしい!?”志摩が俺に可愛いと言う意味がわからなかった。
何がどうなって、そうなったのか全く理解出来ない。
「坊は真面目に考え過ぎですわ〜悩んどっても仕方ない事やってありますよ?」
”そうやってぐるぐる悩んどるのが可愛いらしいって事です”と言う志摩だった。
「坊の気持ちがハッキリしとるんやったら、言うたらええやないですか。それでどうするかはその後決めたらえぇ思います」
何も言えないでいた俺に、志摩はまだ言葉を続けた。
「○○は、坊が東京に行かはるから、自分の気持ちをハッキリ言うたんやないですか〜!
坊はそれでえぇんですか?そんなんやったら○○の方が男らしい気ぃしますわ!」
”それに……”と志摩は言う。
「相手は○○ですよ?悩んどっても仕方なぃ思います」
それを聞いた俺は、何だが目が覚めた様に、今までぐるぐると考えていた事が本当に馬鹿らしくなって、笑えてきてしまった。
「志摩ん言う通りやわ、あいつドアホやったな」
俺は考えても仕方ない事で悩み過ぎていた。
○○には昔から振り回されてばかりで、悩んだ所できっと、○○からは考えていた事とは違う答えが返ってくるのだ。
それに、自分の女々しさにも笑ってしまう。
きっと”傍に居れなくて寂しい”と思ったのは、自分の方だ。
なんだか心に突っ掛かっていたものが取れた気がして、志摩に”スマンかったな”と言うと”二人の幸せを願っとります”と言ってくれた。
3月に入り、カレンダーを見るとホワイトデーが間近に控えていた。
俺はチョコのお返しと、返事はその時に…と思ったのだった。
そう・・・・・・思ってはいたのだが、現実はそう予定通りに上手くは行かないもので。
それと共に、俺はこと恋愛に関して、本当に不器用なのだ…とわかってしまった。
「竜士、なしてうちの事避けんのっ!」
今…○○を泣かせてしまっているからだ。
泣かせるつもりでは無かった、ただタイミングが悪かったとしか言えなかった。
『竜士、今日一緒に帰ってえぇ?』
『おん……いや、やっぱ無理や。お前とは帰られへん』
実は今日、○○へのホワイトデーのお返しを買いに行こうとしていたのだった。
だから”今日は無理だ”と○○に言ったつもりだった。
気付かなかったが、どうやら俺も○○に告白すると意識するあまり、○○が俺にとった態度と同じく避けたり冷たくしていたらしい。
俺のキツイ態度と言葉も悪かったのだろう。
それを○○は”避けている”と捉えたのだ。
「うちが好き、言うたのそない迷惑やった?」
「そ・・・そないな事、ないっ」
「じゃぁなして?うちが言うてから竜士の態度おかしなったやん」
”それは・・・・・・”と俺は口篭ってしまうが、
ぐっと拳を握りしめて、俺は決意した。
「お前んこと意識しとったからやろ!」
「・・・・・・え?」
俺の言葉に驚いた顔を見せる○○。
○○の事を真っ直ぐ見て、
「○○んこと、好きやったからや言うてんのやっ!」
強く、○○がハッキリわかる様に言う。
それは、○○が俺に伝えてくれた時の様に、真っ直ぐ・・・・・・強い言葉で。
「それと!人を散々悩ませよった○○への罰やったんや!」
「ば、バツ!?なしてっ!」
「あれがお前が俺にずっと、とっとった態度やぞ!?」
俺は○○から告白された時に、人を散々悩ませたから、今度は○○がモヤモヤしたらよいと思った。
けれど、俺はわざと○○を避けようしたわけではなかった。
「ちっとは懲りたかボゲェ!」
俺は返事をどうするか悩んでいて、結果的に避ける様な態度をとってしまっただけなのだけれど・・・・・・この際だから言っておいた。
「なっ!竜士酷いやんか!うちの事好きやからって!・・・え!?・・・・・・好き?」
”竜士がうちの事・・・を?”という○○に”そうや!”と強くいう。
泣いていた○○も、俺の言葉に口を開けてぽかんとしている様だった。
「う、嘘やろ?ほんまに?冗談やなくて??」
((〜〜っ!このドアホはっ!!こんだけ言ってもわからんのかっ!!))
俺はそんな聞き分けの無い○○を、ぐっと自分の方に引き寄せ
少し乱暴に口を重ねる。
「わ、わかったかこの鈍っ!!」
身体が動いてしまったのだが、触れるだけの口付けに、流石にこれで○○にも伝わるだろうと思った。
みるみるうちに顔が赤くなる○○につられて、俺も自分のした行動に羞恥心がじわじわと浸透し、顔に熱がいくのがわかった。
そしてその赤い顔で○○は”竜士・・・”と口を開くのだった。”なんや”というと
「ほ・・・ほんま嬉しい・・・」
「やっとわかったかボケ」
「竜士・・・その・・・ご、ごめんな・・・うち竜士にずっと辛い想いをさせてたん・・・」
自分のしてきた行動に、○○は謝罪の言葉を呟いた。
「もおえぇ、謝んな。俺は○○を許してやれそうなぃ」
俺の言葉に不安な顔をする○○。それを見て俺は少し勝ち誇った様な気持ちになって言うのだ。
「せやから、○○には俺と付き合うてもらうかんな!罰やから3年待っとれ!その間他の誰にもやらん!」
”えぇな!”といいつつ俺は○○の額にビシっ!と、でこピンを喰らわしてやると、
”いたあぁっ!”とおでこを擦りながら○○はいう。
「ずっと待っとれとか罰あて、ほんま、竜士は酷いひとや」
「お互い様や!○○にはそれくらい丁度えぇやろ。・・・・・・たまには帰っとくる、たぶん」
「たぶんてなんやねん。えぇわ、うちも東京案内して貰うかんな!」
”おん”てぶっきらぼうに言って○○の方をちらりと見れば、○○は嬉しそうに笑う。
「うち竜士と付き合うたるわ!仕方ないから待っといたる!浮気したら許さへんで!」
「おいコラ何様や!そらこっちのセリフやアホ!」
また同じところをビシっ!と叩くと痛いといいながら今度は俺にも反撃してくる。
○○に叩かれるのは痛いけれど、それはどこか優しい痛み。
少し怒ったフリをする○○に、今からホワイトデーのお返しを買いに行くのだと伝えればコロっと態度を変えて嬉しそうにする。
単純なやつやから、ほんま○○はアホやと思う。
もう一緒に居られる時間は少ないけれど、
その間は○○の好きなことをさせてやりたい。
傍にいる間だけでも、寂しいって思わせない様に・・・・・・
今はただ、少しでも○○の傍に居られる時間を大切に。
。。
【14 days = lovers' memorial day】
→3月14日 【ホワイトデー】
男性が好きな女性に告白する日
なので、バレンタインの対にして、勝呂→○○ちゃんへの告白にしました!
坊は優しいので、○○ちゃんに寂しい思いをさせるのは嫌だとかホントぐるぐる考え
てそうだなって思ったのですw
それと中学生ですし、まだまだ恋愛ベタだと、どうしたらよいかわからないのもあるかなぁ・・・なんてw
あと、大人になりきれてないからすこし意地っ張りな面もあったら可愛いな!と思って^^
これから遠距離恋愛ですけど、坊なんだかんだマメっぱさそうだし、上手くやってけるんじゃないかなと思います。
○○ちゃんが坊が東京に行く時に、少し嫌だとダダを捏ねて坊も困ってたら可愛いですね!
ありがとうございました!
12/03/01
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