約束しよう





俺は最近、○○の事で気になっていた事があった。

元々何処か抜けとる、と思ってはいたけれど、この所拍車がかかっている気がした。

最近頻繁に悪魔が現れる様になり、忙しいのもあったからかもしれない。

でもその忙しい事以前に、○○は何処か忘れっぽかった。

しっかりと仕事をするし、ぼーっとしている訳では無いのだが、やはり”抜けとる”という言葉が合う気がする。


チラっと同じ執務室で報告書を書く○○の方に目線を向けた。


俺も今、この所忙しさで溜まっていた書類を整理していた所だった。


そこに○○がやって来たので、そういえば提出して貰う書類があったと○○を呼び止めた。


俺は書類に書く内容も期日もきちんと説明して、


『この書類を期日まで提出』

といい、○○も

『わかりました!』


とよい返事をしていたのにもかかわらず、少ししたら、○○が申し訳なさそうに戻ってきて


『じゅ…柔造さん……これ…何時まででしたっけ…』


と聞いてきたから、俺は説明したばかりで呆気にとられてしまった。

任務に関しては今の所は何も無いのだが、この忙しさで、○○の抜けが原因で任務に影響が出ては困ると思っていた。

何かよいものは無いのかと、考えていたら、俺の視線に気付いたのか○○と目が合う。


「どうかしましたか?」


と○○は俺に笑顔を向けてくる。


「……ん?○○の事考えとったわ」


言うか悩んだが、そのまま正直に言葉に出すと○○は”えっ”と顔を赤くした。

((可愛いらしいなぁ…))

○○の可愛い反応に少し嬉しくなりつつ、”からかってみたんや”とごまかした。
”からかうなんて酷いですね”と少し膨れる○○の姿も微笑ましかった。



「お、そうや!○○まだ此処におるやろ?」

「はい。もう少しかかりそうなので」

「俺は少し席外すさかい、留守番頼んでもええか?」


”わかりました”と言う○○に”すぐ戻る!”とだけいい、俺は急いで執務室を出た。





++++++++++





「これは○○にプレゼントや」


急いで飛び出し、また執務室に戻っててきた俺は、○○が待っていてくれた事にホッとした。

そして俺が○○の前に差し出したモノを見て、○○はキョトンとしていた。


「わ、私今日誕生日でも無いですし、贈り物なんてそんな貰う様な事何も……」

「俺が○○にあげたい思たんやから、素直に受け取っとけばえぇんや」



俺が笑って言うと、○○は少し照れながら俺が渡した袋を開けた。
そして○○の手に収まる小さなモノ。


「可愛い…メモ帳?…あ、違いますね手帳ですか?どうして私に?」

「ははは!○○は抜けとっからな!」


俺は笑って、思っていた事を直球で言ったら○○は”すみません”と申し訳なさそうに言う。


「○○忘れっぽいやろ?せやからメモ紙あればいいんやないか…思て買い行ってみたんやわ」

「ぅ…柔造さんに何だか気を使わせてしまって……しかもペンまで…」

「えぇて言うてるやろ。なんや今ん時期やからか手帳いっぱいあって、ソレ見た時○○らしいわ!と思てな」


○○の手に収まるそれは、小さいけれど花柄で可愛らしい手帳。

中もカレンダーやメモする所があり機能的にもよいと思った。
それに○○は花が好きだと言っていたのを思い出して即購入した。

”そういうの好きやろ?”と聞けば○○は笑顔で


「凄く好きです!ありがとうございます!」


と喜んでくれている様だった。その姿を見て俺も”買うてきて正解やったな”と嬉しくなる。


「あ、でも凄く申し訳無いので何かお礼させて下さい」


律儀に言ってくる○○に”別にえぇ”と言う。
ただ、俺は何か○○が少しでも役に立つならと思っただけだった。

そしたら○○が俺があげた手帳を開いて


「早速ですが使わせて下さい!柔造さんは何時空いてますか?」


と俺の予定を聞いてきた。
早速使ってくれようとする○○に嬉しくなって、俺もまぁそれなら…と休みを教える。


「ありがとうございます!それじゃこの日よろしくお願いします」


贈ったばかりの新しい手帳に、○○の綺麗で可愛らしい字で書かれる、俺との予定。


「それと………」


と少し恥ずかしそうに○○は俺を見る。


「ん?どないした?」

「2月5日って…柔造さんの誕生日ですよね?」

「おん。知っとったんか?」


俺は自分の誕生日を○○が覚えてるとは意外だなと驚いた。
”それは、その……はい”と○○は徐々に声を小さくしつつ、手帳で顔を隠して赤くなってしまった。


「い、5日…何かありますか?」


手帳の間から見える○○は、ますます真っ赤になって俺に聞いてきた。

俺はそんな○○に何だか嬉しくなって少し意地悪したくなった。


「その日は仕事やろし、いつも家でお祝いやなぁ」

「そぅ、です…よね」


俺の言葉に落胆する○○。
”ただ……”と、俺はわざと○○の顔を覗き込む様にして


「○○が俺の誕生日祝ってくれる言うなら話しは別やけどな」


と目を合わせて言ってやる。


「〜〜〜〜っ!!」


真っ赤になって思い切り手帳で顔を隠す○○に、俺は顔が緩んでしまう。


((可愛えぇな))


あまり意地悪をして嫌われても困ると、俺は○○の頭を優しく撫でて言う。


「○○、5日空けといてや。ちゃんと手帳に書いとくんやで!約束な!」


そして”終わったんやら帰るで!”と言うと○○は俺を見て、少し赤い顔をしながら嬉しそうに”はい!大丈夫ですっ!”と言った。

その返事に、俺も○○との次の約束が楽しみになったのだった。





きっとまた、2月5日の所には○○の可愛い字で予定が書かれるだろう。


手帳はまだまだ真っ白かもしれないが

○○が忘れない様に、

その手帳に予定をいっぱい書いてくれたらいいと思う。



そして、その手帳に


”俺との約束”が増えたらいい


そう願って………






。。




1月14日
「ダイアリーデー」
一年間使う手帳を恋人にプレゼントする日だそうです!


柔造さんで、今回は恋人では無くしてしまいましたが、

”一緒の予定を書いたり、増やしていく”

といった所のお話にしました!

交換日記とも違うし、これからいっぱい約束しような!ってのがいいなと!!

韓国には素敵な恋人達の記念日があるものですね!

1月14日は過ぎてしまいましたが(笑)
来年は遠すぎるので1月を先に書かせてもらいましたww

2月は書いたので次は3月です!

毎月楽しんでいただけたら嬉しいですね♪

ありがとうございました!


12/02/24




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