優しい夢へと
カタカタと窓を鳴らし、外で風が強く吹く音が聴こえる。
夜が更け、いつもは騒がしい修道院も静まり返る時間になっていた。
室内では、いつもは大きく聴こえる時計の秒針の音も、今日はやけに小さく聴こえる程に、風の音が響き耳に障る。
その音に眠れずに、僕の頭は覚醒していた。
明日も早いのだから眠れる様に、と瞳を閉じてはいるがただ時間だけが過ぎていく。
ふと、瞼を開けるとチカチカと点滅する光が見える。
枕元に置いたケータイにメールが届いた事を知らせていた。
暗闇の中で開いた為に眩しさで目を細めながら僕は届いたメールを読む。
『雪男、起きてる?』
と□□からのメールだった。
その短いメールに僕も『眠れなくて起きてるよ』と、短く書き送信した。
□□に送信したメールはすぐに
『行ってもいい?』
とだけ書かれて僕に戻ってくる。
それに僕も『いいよ』と一言書いて送信ボタンを押した。
そして身体を起こし、暗い室内を手探りしてドアへと向かい廊下へ出るとそこに□□が座っていた。
僕に気付くと□□は
「眠れなくて…」
”皆寝てるしこっそり来たの”と小さな可愛らしい声で□□は話し出した。
「□□、おいで。眠れるまで側に居てあげるから」
僕も静かに答えると、□□は小さく頷いて部屋へと入る。
□□を自分のベッドへ寝かせて僕は毛布をかけてやる。
□□が寝るベッドの横に腰掛けて髪を撫でてあげると”雪男は?”と聞かれる。
「僕は□□が寝るまでこうして居るから安心しなよ」
と僕は言う。
髪を撫でられてくすぐったそうにしている□□は、僕が撫でていた手を優しく握り”雪男と一緒じゃないと眠れないよ”と甘える。
僕は□□が可愛いくて仕方ないからそれに答えて同じ毛布へ包まった。
嬉しそうに抱き着いて来る□□に僕も優しく抱き、髪を撫でてやる。
「風の音が怖かったの…このまま何もかも壊してしまう気がして……」
「僕が側に居るから大丈夫だよ。ゆっくりおやすみ……」
”ありがとう”と□□は言って綺麗な瞳を閉じる。
僕は□□の頬に軽くキスを落とす。
□□が寝られるまで、髪を撫でてあげよう。
独りじゃないのだと優しく抱きしめて伝えてあげよう。
僕の愛しい大切なものだと伝わるように。
□□が安心して優しい夢を見られるように。
□□の温もりが僕の身体も心も温かく包み込む。
そして、先程まで冴えていた頭も
僕を優しい夢へと誘う。
。。
雪男夢で修道院時代(中3)でヒロインが年下かタメの同じ修道院に住む子設定です。
男子修道院ってなってるけど御都合設定ですみません(笑)
雪男の甘い考えよーて思ったんだけど…微妙かなぁ。
読んで頂き、ありがとうございました!
12/02/22
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