それはキラキラ輝いて
この季節だからこそ見られる景色に
君の言葉を思い出す。
今朝は今年1番の冷え込みだった。
朝、自分とした事が、寒さの余り、いつもと同じ時間に起床出来なかった。
肌に感じる冷気に、自分の体温で温い布団にもう一度潜ってしまったからだ。
そして、心地好い夢の世界へとまた戻れたならばどんなによかっただろう……
まぁそうも言ってられず、いつもより少し遅い時間に起きるのだった。
窓の外に目をやると、昨日と違って白い景色へと変わる。
正十字学園町にもこの寒さで雪が降り積もっていた。
あまりにもの寒さに耐え切れず、身体は直ぐにストーブを付けた。
これは教会から持ってきたストーブだった。
長年使っていたものだからキズがあって古臭いが、その想い出の数々をよく覚えている。
直ぐに暖かくなる訳ではないが、ストーブに火が燈るだけで、暖かいと思えてしまう。
まだ寝てるであろう兄を思い、物音を立てないように…とある事に気がついた。
((兄さんが居ない……))
まさか、と思い窓の下を覗き込む。
案の定、と言ってよいのか……朝から外ではしゃいでいた。
((雪を見て喜ぶ子供か……いや、犬かも……))
兄らしい行動に笑ってしまうが、よく見たら□□も一緒だった。
こんなに朝早くから二人とも元気だな…と思う自分は年寄りじみているのかもしれない。
この寒さの下で騒ぐ2人にはついて行けそうに無かったが、とりあえず重ね着をし、暖かい格好をした。
窓の外を見ながら着替えをしていたら……
「っ!!危ないっ!!」
□□が滑りそうなのが目に入る。
ガタっと窓を開けて言うも、部屋からでは手を差し延べる事が出来ず、□□は顔から転んでしまった。
□□は何とも無かったのか、しばらくしたらムクっと起きて、照れ臭そうに笑いながら兄さんに”大丈夫”と言う。
そして、先程勢いよく窓を開けて言ったものだから二人はこちらを向いた。
指を下をにさしながら
”降りてこいよ”と。
二人が一緒だと何があっても可笑しくはない、と仕方なくコートを羽織り外に出るのだった。
「二人ともおはよう。朝から寒くて見てられなかったよ。」
「何だよ雪男!こんな雪積もるの滅多に無いぞ!昼には消えちまうかもだし、今のうちに遊んどかないと!」
「そうだよー!私も朝急いで出て来ちゃった!雪だるま作ろうよ!」
この寒空の下、冷たい雪に楽しそうに遊ぶ二人に、逆に風邪などひかないか心配になってきた。
「それより□□。さっき転んだのは大丈夫だったの?」
と、気にしていた事を聞く。
”大丈夫だったよ!”とは言うものの、顔から転ぶなんて事をした□□は髪が雪まみれになっている。
「流石に濡れてたら風邪ひくよ。タオル持ってくるから……それと兄さんも何か□□に温かい飲み物出してあげてよ」
”二人とも休憩!”ビシっと言うと二人は渋りながら”はぁーい”と言った。
タオルを取ってまた外に来たら、□□は寮の入口にしゃがみ込み、外を眺めていた。
「冷えるし中入ろう。今兄さんが何か作りに行ってるから」
そう□□に言うと。□□はすくっと立ち上がり、雪が積もっている方へと足を運ぶ。
「□□、どうしたの?」
と尋ねた□□は嬉しそうな顔でこちらを向いた。
「雪がね、真っ白なキャンバスみたいで綺麗だよね!」
何の跡もついていない真っ白な雪に足跡をつけながらそう言う。
「真っ白なキャンバスに一つ、一つと筆を加えていく様に、この白い雪にも足跡をつけるの」
”どうなるかわかる?”
「キャンバスもこの景色も色鮮やかに変わるんだよ!なんだか綺麗だよね!」
そう笑顔になる彼女に、周りの雪の結晶が光に反射して、キラキラとより輝かせた。
「□□……、こっち来てくれる?」
□□は何だろうと側に来る。
――ぎゅっ
と抱きしめる。
「また転ぶと困るからね……それに、温かいでしょ?」
□□の雪の様に白い綺麗な顔も赤く染まる。
それは凄く綺麗で、寒いけれど雪も悪くないと思えた。
この時期だからしか見られない景色。
白いキャンバスの様な雪に描こう
足跡を付けて、色鮮やかに
君が居る景色なら、それはキラキラ輝いて
。。
((出れなくなった…温かいココア飲まねぇのかな))
。。
雪男で雪のお話(笑)
燐は凄い雪とかはしゃぎそうww
雪男はそういうのは見てそう。保護者的なね〜
んで雪合戦して、雪球をメガネに当てて怒られるとか!ありえる!
雪男に寒い中ぎゅっとされたらいいな。
奥村兄弟もやっぱ好き!
2012/02/12
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