青エク転生





私の人生、こんなはずじゃなかった・・・


不浄王が京都に復活。
医工騎士の自分が駆り出されないはずがなかった・・・。
まじかよ、コッチはずっと患者の面倒を看ていたおかけで寝てないのに、、

皆の錫杖に烏枢沙摩の火の加護が付き「この金造様がひとつ残らず熱殺菌したるわ!!」と、ワッハッハと笑う金造。
頼むから、お前無茶しないでくれよ・・と、思いながら、幼なじみということで、志摩兄弟の後ろを行く私。

せめて別な人の後ろが良かったなー、と心の中で呟き、障気に侵されそうになった金造の腕に(私が改良した飛び道具型)注射器を投げて治療する。
幸い、早い段階で投げために腕が変形することなどなかった。

「□□姉、優しくしてや…!」と金造に言われたけど関係無い。
「□□の治療は相変わらず的確やな〜」と言った柔造には思わず睨みつけてしまった・・。


自分が祓魔師をしているのも、医工騎士をしているのも柔造のせいである。


・・・・いや、元はといえば、断れない性格を持つ自分のせいなんだけれども・・・







* * *





私は、前世の記憶を持ったままこの世に生を受けた。(ちなみに、前世では、マンションのベランダから落ちて若くして死んでしまった女である。)

小学生の時、学校の旅行から帰ってきたら、私の両親は亡くなってしまった。どちらも聖職者関係の仕事をしていたらしく、葬式に参列した人は牧師さんとかが殆どだった。
親戚も両親と同じ日に他界してしまった為、私は京都の祖母に預けられることになった。

京都の小学校へ通うことになった私だったが、言葉(方言)や地域性(県民性)の壁で、見事にクラスで一人になった。
もともと、前世の記憶もあったし中身歳いってたから全然平気だったけれども、




でも、一人だけ、私に構う男の子がいた。


志摩家の次男、柔造である。

同じクラスだけでなくて、家もご近所さんと言うこともあり、とにかく私が一人で本を読んでいる時も、気さくに話しかけてきた。

柔造と仲良くなると、彼の兄弟たちや幼なじみの子供たちも紹介されて、皆でよく遊ぶようになった。

そんなある日、いつものように皆で遊んでいると家の近くの酒蔵で私はとんでもないものを見つけた。




せ、セレビシエ・・!!




もやし●んに出てくる、キャラクターが私に見えたのだ!
しかも、ここいっぱい居る!!(酒蔵だからです。)

この日を境に私は、色んな菌たちを見るようになった。
おばあちゃん手作りの味噌にオリゼーがいたのは言うまでもなく・・。
私のおやつのヨーグルトには「ござる、ござる」と言うちょんまげが居た・・・。


これは、、もう私の進路は決まった!将来は農大へ行く・・っ!!
確か、近くに農大あったから、将来はそこに入学だ!!
で、菌たちをトコトン研究してやる!!



中学に上がって、クラスでインフルエンザが流行り始めた。マスクを忘れた私は息を止めたりだとか、近づく菌をデコピンで弾いたりだとか、とにかく感染しないようにと頑張っていた。
その様子を見ていたらしい柔造が、「お前、悪魔(コールタール)が見えるん!?」と、言い、こりゃ大変だと手を引かれ連れて行かれたのが、柔造のお父さんが勤める、なんとか京都派出所。

「□□が魔障を受けてしもうた…!!」と、柔造がおじさんに今にも泣きそうな声で言った柔造。

ましょう、、マショウてなんだ?

私は、インフルエンザの菌に感染しないようにとしていただけなのだが!?



その日を境に柔造は、私の保護者か!?というぐらい、とにかく一緒にいることが多くなった。

そして、中学三年。
腐れ縁が働いて今年も柔造とは同じクラスである・・・。

放課後、みんなが部活に励んでいる中、志望校調査票を誰もいない教室で書いていた私は、柔造が教室に入ってきたなんて全然気が付かなかった。
「□□は、どこの高校行くんや?」言われて思わずビクリとしてしまった。

私の第一志望は、勿論農業高校。
家から徒歩圏内に農業高校があったので、私はそこに通うつもりである。


「せや、言うの忘れとったわ。□□、お父に相談したら□□も、やっぱ正十字学園通ったらええて言われてな。だから、俺のと一緒に紹介状送ってもろたわ 」

「・・・え?」

「担任も、□□が農業高校行くの勿体無いて嘆いとってな。せやから、東京の正十字学園に入学するゆうたら、たいそう喜んでな!」

「・・・・え?え?」


試験は2月やて、頑張ろうな!ま、 □□の事やから、余裕やろな、と、にかっといつもの柔造スマイルをむけられ、私はそのまま固まってしまった。


あれ、私の夢はいずこ・・・


それから、ニコニコの担任が正十字学園のパンフレットや過去問を私と柔造に用意してくれて、仕舞いには願書まで出してしまった。

ここまできたらどうにもできない。

・・・・引き返せない。


農業高校は諦めた。
正十字学園は、関西までもその名が聞こえてくるぐらい有名な学校だ。
だから、そこを卒業して地元に帰り、関西の農大を目指そうと思う。

うん、そうだ。それがいい。

ちなみに私は、昔、柔造に怒られたことがあって、それ以来恐くて逆らえない(断れない)面が私にはあった・・。
チキンで悪かったな・・!!
だって、本当に怖かったんだもん・・・。



それから、見事2人とも正十字学園に合格。
しかも、私はトップの成績だったらしく、新入生代表挨拶をお願いされた・・・。

めんどくさ・・

奨学金の為に勉強頑張ったけど、こういう人前に出るのはすこぶる苦手だ・・・





正十字学園に入学すると同時に柔造と塾に入ることに・・・
この塾というのがまた、、よくわからない世界である。

私はエクソシストになりたくないのに・・
でも、勉強してわかったことがあった。
柔造は、私が魔障を受けて悪魔が見えると勘違いしていたようだけど、私が見えるのは『菌』です。




「俺は、騎士と詠唱騎士目指しとるんや。 □□は何にするんや? 」

「ぇーと・・・」


夏休み前に『訓練生』から『候補生』へ上がるための試験があり、そのために合宿をするらしい。今日の授業終わりに合宿参加の調査票が配られた。
ついでに、「希望する称号を書きなさい」と言われて、称号とはなんじゃ?と思って、隣に座る柔造に聞いてみた。


「□□ちゃん、頭いいのに何にも知らないんだね」と、前の席の塾生に言われた。

ほっとけ。


「□□は、医工騎士が向いているんやないか?前に俺が怪我した時、手際よかったやないか。せや、医工騎士にしときや!」


そう、爽やかに微笑みながら言われた。
同じ塾生の女子たちが柔造の爽やかな笑顔を見て、目をハートにさせていたけれど・・


皆大丈夫か?

なんだ、私が異常なのか??






そんな感じで、正十字学園を卒業する頃には、立派な祓魔師の仲間入りをした私。
でもって、農大入って菌達を調べたい私は、推薦で地元の農大へ入学した。
さすが正十字学園。頭いい学校だから、推薦入学は余裕だった。

農大生と祓魔師を両立する私。
柔造(保護者)居ないし、キャンパス生活が楽しくて大学院まで行った。

さすがに、院生になると研究ばっかりで大学に泊まり込みとかザラで、エクソシストの仕事もこなすのも難しい時もあった。

それでも「大学超楽しい!!」と思う私が周り(エクソシスト仲間)からは異常に見えたらしい。



あと半年で大学院も終わるという頃、教授からは「博士(ドクター)にならないか?」と勧められた。
私はもちろん!!と頷き、次の定期試験を受けることに。
これが受かれば、私もドクター!

もういっそ、修士(マスター)まで目指そうかな!!


と、ルンルン気分で京都派出所へ向かった私。
薬瓶倉庫を整理している時、柔造がやってきた。
久しぶりに(ここ最近、大学の研究で忙しかった)柔造見たなーと思って「久しぶり」と笑顔で言ったら「おん・・」と今日はなんだか元気のない柔造だった。
なんだろ、悪いものでも食べたのかしら?

いつもならそこで会話も終わるんだけれど、ドクターになれる!ということを兎に角誰かに言いたかった私は、テンション高めに話し始めた。



「私、次の試験通ったら、博士(ドクター)になるんだ!!だから、柔造、これからも(大学での研究で忙しくなるから)ヨロシクね!!」

「・・!!ほんまか!?とうとう□□が医工騎士(ドクター)の中二級試験受ける気になったんか!!」

「・・・・へ?」

「お前が、ずーっと下一級に留まっておったろ?お父も俺も納得いかんかったんや。でも、これで安心や!!俺、お父に□□が中二級受けるって言ってくるな!!」

「・・・ぁ、ちょっと・・・」


頑張るんやぞ!と、いつもの柔造スマイルを見せて、柔造はすぐに見えなくなってしまった。


・・・・・激しくデジャブ・・・。



それから、博士(ドクター)の試験が祓魔師の中二級試験と同じ日だったため、、
嫌々ながらも、博士号を捨てた私を忘れはしない・・・。





* * *





「・・・・・□□、しっかりせ・・!!」

「・・・・・へ・・・?」


目を覚ますと、私は柔造に抱えられていた。
ここは?

・・・そうか。

私、二人の後を着いて行って、途中足を滑らせて気を失っていたのか・・・
・・・・いや、もしかして寝てた?ずっと寝てなかったもんな・・・。

「立てるか?」と、柔造に肩を借りて立たせてもらって、私は、周りを見渡した。

サラマンダーを召喚して先頭を行く手騎士と、火炎放射器で援護をする竜騎士、火を纏う錫杖を持つ騎士。


だんだん意識がはっきりしてきた。
手の感覚を確かめて、瘴気に侵されそうになった竜騎士に注射器を投げた。

「いけるか?」と私の顔を心配そうに覗き込む柔造に頷くと頭をガシガシと撫でてきた。
同い年なのに、こういうのは止めてほしい。


援護頼むぞ!、と言われて、柔造は皆の先頭へ行ってしまった。


はぁー・・と、ため息をついて、さっき竜騎士に投げた注射器を回収に行った。(腫れが引いたら注射器を地面へ置いといてください言っていたので。)

針を取り換え、薬液を入れて次の怪我人の元へ注射器を(正確に)投げた。



「・・・あはは、あたしも竜騎士目指そうかなー・・」


そう思いながら、柔造と金造の後を追った。


取りあえず、不浄王早く死ね・・!!




おわり
(オチ無です、スミマセン。)









。。





《飴玉の雪》陸都様よりイタダキモノ!【青エク転生】
(くださいって言ったら本当に貰えましたw)

サイトのジャンル違うのに書いてくれたのですっ!!

嬉しいですっ!ありがとうございますっっ!!

しかも柔造さんメイン(?)でww


陸都さまの書く話はいつもクスリと笑ってしまいますw
ドクターとか確かにww菌もなるほど!と思ってしまいました(笑)

このヒロインの□□ちゃんネタで、

《農大の知識をいかして、八百造さんの畑を品種改良》

とあって凄く面白そうと思ってしまいましたww品種改良のでっかいトマトに困る八百造さんとか!!ww是非読んでみたいっ!!(笑)



無理にいただいてしまってありがとうございました><

これからもどうぞよろしくお願い致します!!


12/03/06 葉月 綾
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