君がそうして笑うから





俺が目を開けたて見たものは真っ白な世界だった。
それは薬品の臭いが混じる様な清潔な白で、すぐ此処が何処かわかった。


((医務室、やな……))


上体を起こそうとするが身体の痛みに起き上がる事が出来なかった。
少し息を吸うのも苦しい気がする…


((肋骨、いってもぅたもなぁ))


その状況を思い出したら傷がズキっと痛くなった気がした。


身体の脇に少し重さを感じ見ればそこには腕に顔を伏せ眠る○○の姿があった。

誰かが掛けてくれたのだろう、肩には制服が掛けられている。


((ずっと側に居てくれたんやろか……))


身体を動かすのは少しキツかったが、布団から腕を伸ばし、○○の髪を撫でた。
そこに○○が存在しているとわかるように暖かさが伝わる。



その時医務室のドアがガチャりと開いて坊が入って来た。



「志摩、目ぇ醒めたんか…」

「坊…俺は問題なぃですわ。坊や子猫さんわは大丈夫なん?」

「俺も大丈夫や。子猫丸は入院やわ…手術せなあかんらしい…」



”そうでしたか”と言う俺だったが、どうしてもあの出来事の後では何も言葉が続かなかった。


「…ん………」


傍らで寝ていた○○が俺らの話し声に気がついたらしい。


「○○、志摩ん事心配しとったで。側に居る言うてな」

「そやったんですね。…坊…少し、二人にして貰えます?」

「……おん」

「可愛い彼女とイチャコラしたいや無いですか!」


”医務室ですよ!最高のシチュエーションやないですか!”言ったら坊に思い切りドツかれた。


「〜〜〜〜っぁ!」

「そない元気やったら問題なぃな。ほんま心配して損したわ」

「坊〜〜。一応怪我人なんやから手加減しとって下さいわぁ〜〜」


坊は笑って”ほなな”と医務室をでていった。

○○は腕に顔を伏せている状態のままだったが、流石に俺らの声に起きただろう。

俺は先程と同じ様に○○の髪に手を伸ばし声をかける。


「○○……なんや心配かけてもうたな」

「…………」


俺は話しかけるが○○からは何も反応が無かった。


「大丈夫やから、○○の顔見してくれん?」


○○はそっと身体を起こし、顔を上げて俺に見せてくれるが、その顔は今にも泣き出しそうだった。


「泣く事ないやろ。俺元気やで?」

「だって…本当に…心配して……」


○○が不安がらないようにヘラっと笑ってやるが、○○の目からホロホロと涙が落ちる。

俺は頬に手を当て、その涙をぬぐってやる。
俺の為に泣いてくれる彼女の頬を優しく撫でる。

ぐっと肩を抱き寄せ自分の胸に寄せれば、身体にが痛みが走り少しゴホっと咳込んでしまった。


「っ!!……無茶して!」

「いやぁ、せっかくの医務室てシチュエーションにイチャコラせんのは男やないやろ〜」


ニヤリと○○を見て笑ってやると泣いていた○○も俺につられて笑う。

「……元気だね」

「おん。元気やわ…少し痛いけどな」

「早く…よくしてね。無茶はしないでね」

「○○が、ちゅ〜てしてくれたら早くよくなる気ぃするわ」


腕に力を込めて少し強く抱きしめると○○に”馬鹿…”と言って叩かれる。

それは優しい痛み。

俺の腕の中に居た○○はスルっと簡単に抜け出してしまう。


「ちゃんと元気になったらね?」


―――ちゅ


頬に柔らかいものが触れた。
○○がそうして笑うから、俺はそれだけで元気になれる。


「っ!!もっかい!もっかいしてっ!!もぅ元気やから!」


”べー”なんて舌を出す姿も可愛いくて身体の痛みなんて忘れてしまう。


俺は、それよりも○○の事で頭がいっぱいだから。




((早ぅ元気なって…何しよかな))




ピンク色の脳内がただ漏れて○○に叩かれるのはまた少し後の話し。



。。




廉造で本編より。

肋骨折った直後くらいで。



私は廉造をかっこよく書けないなww

ヘラっとしてるのが廉造らしくて、怪我とかしても冗談言ってそう(笑)

かっこよく書ける書き手さん尊敬します!

坊初めて出しましたww
坊も好きなので廉造と二人また出していけたらなぁと♪

ありがとうございました!



12/02/22


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