思いもよらなかった出会いをして帰宅をすると、巴ちゃんと弥生ちゃんからのメールと着信がなりやまなくて、どうせだしということでスカイプをすることになった。弥生ちゃんの興奮度がとにかくすごくて、柳くんと赤也の絡みを事細かに説明させられた。明日には一本話を考えてくるとのことだ。巴ちゃんは巴ちゃんで柳くんと真田くんでお酒の話を書きたいと言っていた。私はもっと仁王と誰かの絡みが見たかったです。

「それじゃ私、夕飯作らなくちゃいけないからそろそろ切るねー」
「あ、わかったー。今日は報告ありがと!おかげでネタの神が降臨してる!」
「おつー。またなにかあったらすぐ言ってねー!じゃあまた明日ー」
「うん、明日ね〜」

ヘッドホンを置きスカイプを閉じると、料理のレシピサイトへと飛んだ。そういやこの年で一人暮らしなんだよなぁ…ちょっと大変かもしれない。買い出しのこととかよく考えないと。洗濯物とかもずぼらで放置する癖があるから、しっかりしないとあっという間にゴミ屋敷になりそうだ。
やっぱり今日は野菜炒めでいいか、とパソコンを閉じてさっそく取りかかった。



美少女になってから3日目。クラスに友達も出来てなんとかやっていけそうなので、今日も気楽に登校する。しかし一つだけ気になっていることがあった。
昨日、何故幸村がいたんだろう。
原作通りならば今の時期、幸村は入院しているはずだ。なのに彼は元気そうにコンビニに立ち寄っていたのだ。
もしかして私というイレギュラーな存在のせいで話が変わってしまったのだろうか。それとも元からここは原作のパラレルワールドのような世界なんだろうか。わからない。でも、私がどうこうできることではないし、立海が三連覇したって別に悪いことじゃないし、とにかく私はそっと見守るだけだ。やはり我が身が一番可愛いので、ひっそり萌えライフを堪能する他ないよね、ということで自己完結する。
途中で今日も綾香ちゃんと合流し、相変わらず可愛らしい彼女の話に耳を傾けながら登校した。今日からいきなり授業だけど、丸井と仁王で思う存分楽しむぞ!ネタ用のノートも買ったし、とわくわくしながら自分の教室に入った。そして、予想外のアクシデントが起きる。


私が巴ちゃん達に挨拶をし、席についた時だった。

「なぁお前名字だっけ?俺丸井ブン太、シクヨロ!」
「えっ…、名字名前です。シクヨロ。…何か用かな?」

何故。何故丸井が話しかけてきた。私じゃなくて仁王と話せよ。…ああ、まだいないから暇なんだね、それでモブと話して嫉妬させよう作戦なんだね。でもそれ私に話しかけなくてもいいよね。本当になんで話しかけられたんだろう。女子の目線アイタタだし、はよ仁王を迎えに行って欲しいんですが。

「別に用はねーけど、昨日コンビニいたじゃん?クラスメートと仲良くなったっていいだろぃ」
「丸井くんならクラスの皆と仲良くなれるよ」
「んーまあな!お前なかなかわかってんじゃん!」

丸井よ、お世辞に気付いてはよ立ち去れ。確かにいい顔してて目の保養だけど、私逆ハーとかいじめとかそういうの求めてないんで。あくまでホモが欲しいだけなんで。おだてていると話が長引きそうなので、私は早くも最終手段を使った。

「そうかな?…あ、ほら向こうの女子とかと話してきなよ。私トイレ行きたいし…」
「え?なんだよ早く言えよな。漏らすなよ!」
「漏らすか!!…あっ、それじゃあ!」

はや歩きで廊下に向かい、丸井ふりきれたし女子の嫉妬も軽減出来たような気がしたし、私やるな!と自画自賛してとりあえずトイレに向かった。別に尿意とか無いけどトイレって言っちゃったし、一応ね。携帯に弥生ちゃんからメールが入っていて、なんで話しかけられたのか全くわからないとだけ書いて返信しておいた。

数分置いて教室に帰るともう丸井はこちらに興味もないようで、仁王といちゃついていた。本当にありがとうございました。
それからは特に話しかけられることもなく、4限までの授業はすぐに終わった。私的に丸井と話す時以外ぼっちな仁王が可愛すぎてどうにかなりそうだった。丸井が他の男子と話していると少し寂しそうになるあの後ろ姿がたまらない。女子には話しかけんなよオーラ出してるし、これはひょっとすると、てかひょっとしなくても仁王ホモなんじゃない?丸井のこと好きなんじゃない!?てっきり柳生なのかと思ったけど、丸井なんだね。大丈夫、私ブンニオすごくいいと思うよ。むしろみんなで仁王取り合えよ。早く丸井が応えてくれるといいね仁王。私は応援するよ!

早くこのことを話したくて二人に部室行こうよ!と急かしたら、名前ちゃん今日テニス部でしょ、と言われてしまった。なんてこった、そういやそんなイベントがあったんだった。そんな…と分かりやすく肩を落とせば、頑張れ、部員の絡み見られるかもしれないし、と言い残され私は迎えにきた綾香ちゃんと仕方なく部室へと向かうのだった。…うん、まあ、絡み見る為の代償だと思えば平気だよね。こっそりネタ帳を内ポケットに入れ、早く終わらせようとテニス部へと急いだ。


(話しかけられました)
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