風呂掃除を終えて冷房の効いた部屋に戻って来るとノートパソコンと睨めっこしていた雪男さんはいつの間にかソファで仰向けになり、ブランケットを腹に掛けて寝息を立てていた。仮眠かな、最近仕事詰めだったようだし夕方まで寝かせてあげよう。そう考えながら冷蔵庫から持って来たお手製の麦茶を氷を数個入れたグラスに注ぐ。

「眼鏡無いと印象違うなあ」

グラスを持った儘ソファの前に屈み込みまじまじと雪男さんの寝顔を観察してみる。眼鏡を外している所をあまり見ないので何だか新鮮に感じて、目元を集中的に見つめてみる。睫毛長い。

「……あれ、」

起きてノートパソコンに向かっていた時はいつもの雪男さんだった筈なのだが、何やら違和感がある。グラスを傾けて一口飲みながら立ち上がり全身をまじまじと眺めて漸く合点がいく。今日の雪男さんはカーディガンを着ていない。剥き出しになった腕がブランケットを落ちないように押さえ付けている。
スーツで帰って来て、シャワーを浴びに行って戻って来ると既にカーディガン姿な為雪男さんの腕を見たことがなかったのだ。今初めて気付いた。

「……」

間近で見る男性の腕に興味を抱く。グラスをテーブルに置いて指先で筋ばった腕をつついてみると、想像していたよりも引き締まっていた。

「おぉ……」

ええと…凄くドキドキするのは何でだろう。もしかして私、腕フェチだったのか?
いつもより速くなっている鼓動に驚きつつ、他の事に思考を移そうとするも視線は雪男さんの腕から離す事が出来ない。
寝てる人の腕を見てときめくとか、何か、変態じゃないか!

「……っ」

急に恥ずかしくなってきて思わず両手で顔を覆って現実から逃げる。こんなの絶対雪男さんに言えない、ドン引きされちゃうよ。
ああああ、何でこんな時に限ってカーディガン着てないんですか馬鹿あああ。

もうどうしようもなくなって、雪男さんのお腹に顔を思いきりダイブさせて更に現実逃避を図る。早く起きて下さい雪男さあぁあん!

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