黒子くんから唐突に電話で「お願い」をされたのは冬休みも終わり、進路調査の紙を配られ己の進路について考えている時だった。

「青峰くんが赤司さんの事をとても気に掛けていて…良ければ連絡先を交換してあげてくれませんか?」

青峰、くん。苦手意識のある人の名前を出され思わず溜め息混じりに彼の名前を呟く。WC決勝戦で初めて会ったのだがあの威圧感には恐ろしさしか感じなかった。兄が纏う威圧感とはまた違う、言葉にし難いが兄が柔で彼は剛なのだと思う。表現出来ないので何となくで察して欲しい。

「あ、青峰くん?青峰くんって…あの、青峰くんだよね…?」

「人相が悪くガングロで口調や態度もやや粗野な、あの青峰くんです」

「…………」

「嫌なら断ってもいいですよ」

「……っ、」

目の前の進路調査票がぐにゃりと歪む。離れていた兄との距離が縮まったから、何?それで終わりなのか。これは、自分を変えるいい機会ではないのか。
世界を憂う悲劇のヒロインとはお別れした方がいいに決まっている。一人では出来ない。手は差し伸べられている。あとは、手を取る勇気を私自身が出すだけ。





『今日は晴れてるし雪も積もってねーから屋上でメシ食う』

弁当箱の横にフリップを開いた儘置かれた携帯の画面には、今受信したばかりのメールが映し出されている。私は家事があるし、青峰くんには部活があるから互いのペースでゆっくりとメールを続けてみた結果、こうして今も連絡を取り続ける事が出来ている。

『こっちは雨が降ってます』

『写メやるよ』

『…焼きそばパン…。野菜をもっと食べましょう』

『見るとこちげーよ』

『お弁当とかないんですか?青峰くんはモテそうだからお弁当の差し入れとか、ありそうなのに』

『むしろ顔がこえーとか言って避けられてるっつーの』

『ごめんなさい!威圧感(剛)とか思っててごめんなさい!!』

『おい待て』

『あっ』

何だかすごく仲良くなってしまった。相も変わらずお昼休みは一人だけど、青峰くんのお陰で今まで以上に楽しく過ごす事が出来ている。

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