◎双子妹、洛山生

願いは必ず叶う。その為には努力を怠ってはいけない。

「一生目が覚めなきゃいいのに」

夜、目を閉じて眠りに就く前に己の願いを呟いてから眠る。
そして朝、目が覚める度に自分自身に落胆する。今日も目が覚めてしまったと。
眠たげに細められた私の髪の毛や目の色が鬱陶しくてわざと鏡から視線を外して顔を洗う生活にももう慣れっこだった。極々質素な朝食を終えて制服に腕を通し肩に掛かる髪を櫛で梳いて、朝食の調理と同時進行で進めていた昼食の弁当を包んで鞄にしまった。

赤司征十郎に全てを吸い取られた哀れな妹。周囲の印象は評価は間違いなくそうだろうし、私自身その言葉に納得すらしてしまった。
赤司征十郎の双子の妹として母のお腹から出て来た瞬間から私の人生は始まり、そして終わっていたのだ。赤子の標準体重と同じくらいふくふくとしている兄の後に出て来た私は産婦人科の先生や助産師さんすらも慌てる程に痩せていたらしい。エコーですらも私に覆い被さるように兄が映り込むものだから、孕んだのは兄一人だと思われていたらしい。「男の子ですね」「あら、イケメンね」「あれ。もう一人居ます」「えっ」、私が産まれた経過を話すには十秒も掛からない。

「兄が産まれるついでに産まれちゃいました」

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