もしもメフィストが捨てられた子犬と戯れる淡白大学生夢主を見掛けたら
・以降このシリーズはもしもシリーズと略されるでしょう
「はぁあ…今日も彼女には会えなかった…。私はこの大学のみならず正十字学園町全てを統べる身だというのに…小娘一人見つけ出す事も出来ないというのか…」
「!」
「あ、あれは…!」
「あれはまさしく私が探しに探した、我が愛しの伴侶(予定)…!」
「はて、道端でしゃがみこんで何を…?ま、まさか身体の具合が!」
「…おや?あれは…子犬?」
「……」
「きゅうー」
「……かわいい」
「きゅうん」
「指吸ってる…お腹、空いてるの?」
「きゅう」
「……病気してないか、見てもらおうね」
「ああぁぁあ…う、羨ましい…!彼女の腕に抱かれ指を吸い頭を撫でて貰えるだなんて!」
「クッ…ククク…猫より犬になれるようにしておいて良かった!私の選択は間違いではなかったようだ!」
「いざ…いざ参るぅうう!」
ぴょこっ
「……?」
「わんっ」
「……」
「わんっ」
「……」
「(さあ、何処からでも撫でて良いのですよ!先程可愛いと言ったその腕に抱かれた子犬より遥かに愛らしい姿を見て悶えるわけがない!)」
「何してるんですか理事長」
「!!」
「今忙しいので失礼します」
「(い、一瞬で見破られた…!彼女は一体何者なんでしょう…!!)」
「ごめんね、怖かったね。行こうか」
「きゅうん」
「(いや、しかし彼女は魔障を受けた経歴は残っていない…従って彼女に悪魔を見破る能力はない。ならば何故…もしかしてこれは、これは…愛の力!?防犯ブザーの音が私に有効な事も、犬が私だと分かったのも…彼女が私を愛しているからなのか!)す…好きです!貴女の事を愛していま…」
「………」
「………」
「い、居ないだとォォオ!!」
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