「シュシュver.ユイ」
目が覚めて、肩にかかる髪の感触が煩わしかったので、ユイに貰ったシュシュを使っておざなりにまとめてみた。髪の先が縺れているようだが気にしない。ようは肩の感触を振り払えればいいのだ。鏡に映る己の姿をふと見れば自分の髪の色に同化したような薄桃色のシュシュが、ユイそのもののようで少し笑えた。
「シュシュver.ルキ」
眠くなったらその欲求には抗わない。
この部屋で出来ることなんて、寝るか読書をするか、前触れもなく体を開かされるかしかない。今朝丁寧にくしけずられた髪をまとめられたシュシュを人差し指1本でするりと解いた。途端に背中に広がる白銀の波の美しさを、当の本人が目にすることはない。端で誰かが見ていたなら思わず感嘆の溜め息を漏らしただろうに。
シュシュは無造作にサイドテーブルに置かれ、その艶やかな闇色は明かりの落とされた中に埋もれた。
20150224(頂いた日)