薄くも厚くもなく、桜色なんて可愛いげのある表現は似合わないけれど、健康的な色合いのそれ。つやつやと潤うそれは触れたら吸い付くように離れ難いことは想像に値しない

あと数歩踏み出せば見事噛み付ける距離にいるのに、私に足りないのはきっかけのみだ



「さてどうしたらありつけるものか…」



それを目の前に悩む、悩む

きっかけは自分で作れるだろうか。流れに身を任せるのは些か時間がかかりすぎる気もするしなにより面倒臭い



「ん?何が?」

「いやね、今晩のおかず的なアレをですね」

「おかず的なアレってなんだよ」

「あわよくばそのままメインディッシュ突入したい訳で…あわよくば」

「ごめん何言ってるのかサッパリだから」

「目の前に良質な食材があるのに皆気付かないから不思議に思ってたらさ」

「そうだよねお前ってそういうやつだった」

「なんか結構夢中になってしまったんだよね、そんな自分に驚いてます」

「作文?!」



もちろん閉じたり開いたりするそればかりじゃなく、平々凡々なその他諸々のパーツも割と魅力的だが、やはり突破口はここからだろう。スタートダッシュはまだきってはダメだ


「さてどうしたものか…」

「…俺もどうすればいいんだ」

「むしろ待たずにそのままでもいいのか?」

「…お前って本当残念だよね」

「うん私もそう思う」

「は?え、自覚済み?!」

「まさかこんなのにムラムラくるなんてね」



「……え?」



おやおやポカンと間抜けに大口なんか開けちゃって。指でも突っ込んでやりたくなる。あら、私って意外とSかも


「だから、あの、今の私は大変むらっている訳なので、そのお口に噛み付いちゃってもいいでしょうか」



「っ〜〜〜〜〜!」





ガタンがたたたん
机の中身を撒き散らし、慌ただしい音を立てて逃げてく逃げてく。お顔真っ赤にしちゃってまあ


それにしてもなにあれ、山崎ってやっぱり可愛いどうしよう女子か









「男に向かってそういうこと言うな馬鹿ッ!」












20101018
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