さわさわと揺れる新緑、むわりと香る雨の臭い。頬を撫でてゆく風は生温いが湿った肌には心地好い

じわじわと唸る蝉の中、今日も私はここにいる。何をするでもなく、何を思うでもなく。ただただ空を眺め、草の薫りを堪能し、雨の気配を感じれば屋根を借り、たまに人間の子供達の足をひっかけて遊ぶ


いつも感じるのは平和と暇と怠惰と


きゃあきゃあと騒ぎ立てる子供は五月蝿くて仕方がないが、何時しかその喚きを心地好く感じ、自分も仲間に入れてほしいと思った。それが可笑しくて可笑しくて



私には酌を交わす仲間もいないし愚痴を零せる隣人もいない。



なんと寂しいことか



私には渇かぬ喉も望まぬ不変もあるが、その腹は満たされたことはないし、何時も何時も身体の中心がきゅうとなる。これが寂しいことかと気が付いたときには一歩ヒトに近付けた気がしてなんだか顔が綻んだ


―――――――

夏目は難しかった。誰も出てこないままぐだぐだしてボツ


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