このドアをノックするのはもう何度目だろうか。そんなことは分からないけどきっと、これからもずっとこの瞬間に慣れることはないんだ、なんて思う。
「…なまえ」
きい、という音をたてて中から人が出てくる。「やあ、」なんて
言いながらもルーピン先生は私の顔を見るなり困った顔をして笑うのだ。
「…とりあえず中にお入り。」
肩を抱かれて半ば押し込まれるように中に入る。入った瞬間ふわりと甘い香りが鼻をくすぐって。ああ、ルーピン先生の匂いだ、なんて少し変態染みたことを思ってしまった。
「ルーピン先生、」
「何度来ても私の答えは同じだよ。君とは付き合えない。」
「…私が、生徒だからですか」
そう言うとルーピン先生はぴくりと体を震わせた。そして決まって言うのだ。
「違うんだ…君は悪くない」
「…ねえ、好きなの、ルーピン先生、」
年の差も、立場も、私たちの間にあるなにもかもが私をルーピン先生から遠ざけている気がした。
あれもこれもそれも全部
(憎くてたまらないよ、)
20101120 title by Largo