「なまえ、」
優しい声で名前を呼びぎゅ、と抱きしめる。するとなまえは控えめに背中へ手を回す。いつまでたっても慣れないなまえがたまらなく可愛くて俺は抱きしめている腕にさらに力をこめるんだ。
「精、市苦しいよ」
「ふふ、そうかな」
こんなもので苦しいなんて冗談だろ?俺の愛情はこんなものじゃないよ。もっともっと、きつくて強くて
「ちょっとだけ甘いかな」
「え なに?」
なんでもないよ、と言いながら白くて少し肉の付いた二の腕に噛み付く。がじがじと噛み付きながらなまえの顔を見上げると、痛いのか少し眉をひそめていた。たまらない。この顔を見るとなまえの細胞や神経、なまえの全てを俺のものに出来た気がして何とも形容しがたい気持ちになる。たまらない。
「精い、ち」
「ん?」
「すき」
俺は好きっていうより愛してるんだけど。まあ今はこれで十分だ。…いや十分すぎるかな。ああどうしよう、口元のにやけがおさまらない。
不意打ちフィナーレ
20100630 title by Largo