※創作大谷さん注意!
「佐吉、ではまた来るよ」
「…ああ」
大谷さまが三成様のことを佐吉、と呼んでいるのがたまらなく羨ましく思えた。それは幼き頃から知友である二人の仲だからなのであって、決して私には呼べるものではない。そんなことくらい分かっているのだけれど、大谷さまが佐吉と呼ぶ度に私は、羨ましい、などと思ってしまうのだ。
佐吉、佐吉、さきち
佐吉というのはなんだか可愛らしい名前だ、なんて思いながら何度も口に出してみる。
佐吉、さきち、さきち
やはり可愛らしい。あんなに麗しい三成様も子供の頃は可愛らしかったのだろうか、
「佐、吉」
「…何をそう俺の名前ばかり連呼している、なまえ」
「うわぁああ!み、三成様!」
いきなり三成様が出てくるものだから、それはそれはもう心臓が飛び出るくらいびっくりした。
「いや、えっと、ですね、…幼名で呼び合う二人が羨ましくて、」
「…フン、くだらんな」
三成様の鉄扇でぱしりと叩かれる。…これ尋常じゃないくらい痛いの知ってますか!そう思い、涙目になりながら三成様を見上げる。
「…お前の好きに呼べばいいだろう、」
そう言う三成様の耳は少し赤くなっていた。…ああもう、そういうところを見る度にまた貴方が愛おしくなるのだ。
魔法のことば
20100418