蓮二くんと私の家はお隣さんだからよくお互いの家を行き来しあっている。勉強を教えてもらったり、映画を一緒に見たり、馬鹿みたいにくだらない話をしたり。蓮二くんとならなんでも楽しく感じられるんだ。


「なまえ、」

「どーしたの…わっ!」


突然名前を呼ばれたかと思うと背中に感じる重み。


「蓮二くーん?」


ぐるりと首を蓮二くんの方を向けようとすると逆にぎゅ、と抱きつかれてしまう。


「なんだか暖かくて眠くなってきてしまった」

「ちょっ、私を置いて寝ないでよー」

「…生憎、ちょうどいい抱き枕を見つけてしまったからその意見は聞けないな」


抱きつく腕がきつくなったかと思うとそのまま仲良くソファへと沈む。やっぱり蓮二くんにはかなわないなあ、なんて。観念した私は「おやすみ」と言って蓮二くんの首に腕を巻きつける。すると蓮二君は満足そうに笑い、目を閉じた。


それから少し経つと、もうすーすーという気持ちの良さそうな寝息が聞こえてくる。久しぶりに見た蓮二くんの寝顔は幼い頃とは違って綺麗で、思わず見惚れてしまう。たまにはこんな風に過ごすのもいいかもしれない。なんだかぽかぽかしてすごく幸せだ。


蓮二くんの寝顔がこんなに綺麗だってことも、意外と子供っぽくて独占欲が強いってことも、この先もずっとずっと私しか知らなければいい。そう思ったある日のできごと。


抱き枕に使用期限はありません
(いっそのことずっとこのままでもいいのです)


20100402


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