愛しい彼が生まれた今日は、太陽の光が柔らかくぽかぽかしていてとても気持ちがいい。まるで私を包んでくれる彼みたいだなんて、紅茶を淹れてくれている彼の背を見つめながら思った。
「なまえ」
私の名前を呼ぶリーマスの優しい声がすうっと、心に入ってくる。それがすごくあったかくて、自然と笑みが零れた。
「砂糖は自分で入れる?」
「うん。だってリーマスに任せたら甘すぎて飲めなくなっちゃうもの!」
冗談っぽくそう言うと、それもそうだね、なんて笑いながらリーマスは自分の鳶色の髪を掻いた。紅茶を飲みながら、昨日リーマスに言われた言葉を思い出す。
明日は何もしないで、いつも通りでいて、
リーマスらしいとは思ったけれど、やっぱり自分の恋人の誕生日に何もしないというのは少し気が引ける。というよりもすでにプレゼントを用意してしまっていたからという部分も多いんだけど。
「リーマス、や、やっぱりね!彼氏の誕生日に何もしないのは彼女としてどうなのかな、って思いまして!これ!プレゼント!」
「…僕、なまえと一緒にいるだけで幸せだからプレゼントなんていらなかったのに…ありがとう、なまえ」
抱き寄せられて、頬に軽いキスをされる。好き、大好き、愛してる、そんなありきたりな言葉じゃ言い表せなくて、この思いが全部リーマスに伝わればいいのになんて思いながら私もリーマスに抱きついた。
「ねえリーマス、」
リーマスの耳元に顔を寄せて囁くように言う。ふたりにしか聞こえないように。
幸せすぎてどうにかなりそう
20100310 ハッピーバースデー!