「やっほー! なまえ、いるかにゃ?」
「――人の部屋に勝手に入ってくるなバカ英二!!」

ドアを開けるなり、飛んでくるクッションを反射的に避ける。

「何で避けるワケ!?」
「だって〜…当たったら痛い「だったら痛くなってよね!「ぶっ!」

顔面命中。

「よっしゃあっ!!」
「いたたた……なまえ最近酷いよね…あれ?」

床に転がっているのは、不自然なまでの赤い、ランドセル。

「懐かしいやぁ…俺たち、数年前まではこれ背負ってたんだよねー…」
「…っ…返せアホ英二!!」
「えーなんでさー!」

猪突猛進な彼女を片手で止めて、暴れる原因をひょいと高く持ち上げる。

「何でも! 早く返してよ!!」

そんなに必死になっているということは、これに何かあるのだろう。英二はニヤリと笑った。

「…ヤーダよん♪ さってと、中身は何かなー?」
「ちょ、マジでやめてってばサド英二!」

〈…カチン!〉

「さっきからずっと思ってたけど、何で俺の名前の前に変な言葉つけるのさ!」

バカとかアホとかサドとか。

「そんなこと今は関係ないでしょ! いいからっ、さっさと、返しなさいっ!」
「関係大アリ!!」
「〜〜〜っ! 英二には関係ないっ! あたしのことなんてほっといてよ!!」
「む〜〜っ…もう怒ったぞ! 長年連れ添った幼なじみにそんなこと言うか!!」
「連れ添ってないし! 夫婦かっつーの!!」
「こんなもの、こうしてやる!!」

〈バサバサバサッ〉

「あ…っ…」

逆さにひっくり返したランドセルの中から出てくる出てくる、たくさんの写真。

その全てが。

「俺と、なまえ…?」
「―――っ」

俯く彼女と、赤いランドセルが、肯定を示している。

「なまえ…」

名前を呼べば、それが合図かのように。

「――だって英二、中学入ってからヤケにあたしのこと子供扱いしてるんだもん!!」

…堰を切って溢れ出す、彼女の感情。

「あたしは英二と一緒にいると安心するから、わざわざ青学を受験して入学したのに、当のあんたはよそよそしくなったりかといえば妹扱いしたり。――それじゃあまるで、」

不安に揺れる瞳に、自分が映る。

「優しい英二が、あたしにつきまとわれて困ってるようにしか見えないよ…!」

英二は目を大きく見開いた。

「な…そんなわけ無いじゃん! 俺はなまえのことが――「でもファンの子にそう言われた!!」…!?」

なんで。そんなはずは無い。彼女にそういう被害がこないよう、ずっと側にいたのに。

「だからあたしはずっと英二に八つ当たりしてたの! そうすれば英二はいつか愛想を尽かすと思って。だから、だから――「聞いて、なまえ」何よ!?」

落ち着け。一つ、深呼吸。


一世一代の大勝負。幼なじみという細い縁で繋がっていた自分たちが、これからどうなるかわからない行動を。


「俺は、なまえが、好き」
「…!?」

このランドセルに賭ける。










赤い、赤い、ランドセル





彼女の想いが、

この赤のように褪せていないことを信じて。





〈挨拶〉

意味不明。

でもできたー!
まさかの菊丸。あれ、何でだろう。
会話のあたりは完全にノリです←
私の一つ目!





2010.10.11

*園より
沙さんより、「赤い、赤いランドセル」 菊丸でした*
なななんて、素敵菊丸..!
しかもヒロインちゃんが可愛くてじたばたしました(^p^)←
菊丸かっこいいなあ..
幼馴染っていいですよね。素敵です..!
というか私のスローペースさ酷い。更新します。すみません..!